第3話 新宿 歌舞伎町
やっと歌舞伎町に着いた。
歌舞伎町の景色は煌びやかな光の溢れる街であるが、その蔓延る人間たちからは、綺麗さを感じることもあれば、醜さも感じるような、中途半端な世界を感じた。
周りの人達を見回してみると、笑っている人、泣いている人、無表情な人、たくさんの顔がある。
それらの顔には、絵の具を塗りたくったような不気味さがある。
足音が聞こえないくらい、騒がしいこの街は、
前の僕の街とは違う。
当たり前のことであるけれど。
どこを見回しても、中途半端。
薄暗い街に、明るすぎる照明。
その道を携帯電話を頼りに、歩いていく。
本当に騒がしい。
携帯電話は昔から使っているが、この人混みの中にいると、かなり使いづらい。
重い荷物を背負って、片手は塞がれているので、とになくわ歩きにくい。
フラフラして仕方ない。
携帯電話を見ると、通知が来ていた。
[左折してください]
「ここを左に向かうのかな、」
左に歩くと、横から歩いてきた高身長の男たちにぶつかる。
転んでしまい、僕のリュックが落ちる。
「あぁ、邪魔だな。泥臭い野郎がよ」
「すみません」
東京の人は、こんなに怖いのか。
ただ、今までない経験に動揺していた。
その雰囲気に圧倒された僕は、急いで、走り出す。
ああ、ついていない。
走り出してから少し経って、ある建物の前についた。
僕が検索した結果歌舞伎町には未成年でも学生証無しで働ける場所があるらしいのだ。
でも、そこは歌舞伎町でも派手で都会感のあるところではなく、古さが溢れている気味が悪い路地裏だったのだ。僕はそこに歩いて行った。
「ここかな」
気味が悪く、古い雰囲気のある昭和、バブル時代の遺物を感じる。呼び鈴が斜めに傾いており、機能するのかが心配だ。僕はそれを踏まえて呼び鈴を押す。呼び鈴が辺りに響き渡った。
そして少し物音がし、扉が開いた。
「あぁ?何だお前。」
威圧気味に質問する30程度の若白髪の生えた中年に見える男。僕はそれに答弁した。
「あの、働けると書いてあったので来たのですけど」
頭を傾げ、何の事やらとでも思っている様子の中年。
「ああ、そういう事か、働かせてやるよ、来い。」
そう言って家を案内する中年。
そして案内が一通り終わり、自由にして良いと言う中年。
「仕事は、何をすれば良いですか」
「勝手にしてろ」
そう投げやりに言う中年。
僕は何も出来ず家を周った。
そんな時、足に激痛が走った。
何だろう。そう思って下を見るとそこには、
拳銃があった。日本は拳銃の個人所有は認められていない筈、そう思った。でもこのままじゃ、そう思っただから、拳銃を拾ってリュックの奥底に隠した。
恐怖が僕を襲う。苦しいでも一度指紋を付けてしまったなら僕は置くことが出来ない。
「おい。何してる」
中年が話しかけてくる。バレたのだろう。拳銃を拾った事が。
「すいませんでした。」
そう僕が謝ると中年は笑顔を垂らす。
「そうか」
ナイフを僕に刺そうとしてくる。
僕は咄嗟に避けた。奇跡と言っても良いだろう。
叫ぶ中年。でも中年は心臓をナイフを落として抑える。苦しそうだ。
このままじゃ、殺される。
僕の世界が終わってしまう。
このままじゃ、このままでは。
「ああぁ!」
でも、僕は、拳銃の引き金を弾いた。
銃声が静かな部屋の中に響く。
残酷だと分かっていた。でも本能的に撃ってしまった。
「あぁ…」
幾らに無様だと知っていても、最悪だと分かっていても、殺すしか僕にしか選択肢は無かった。
醜い人間なんだ。そう自分を肯定する。
発砲する時の恐ろしさはあまり感じなかった。
拳銃から出た弾は中年を貫通し外に出ていた。僕は証拠を残さないように、弾を回収した。
その冷静さは、僕が感じた今までの何よりも、冷たかった。
心は冷たくないはずなのに。
ここには、いられないような気がした。
僕の新しい居場所はできなかった。
いや、必要ないのかな、なんて思ってしまう。
扉を開けて、外を見回す。
古臭いこのビルから飛び出して、どこに行けばいいのか。
空を見上げる。
まだ、夜は続いていることを主張するように、空は真っ暗だ。
それなのに、僕の視界には黒い建物が怪しく輝いている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます