第29話 フルムンドの歴史
時は遡ること十数年前、宮廷錬金術師長になって居たルーエンは宮城の結界を隣の教会まで広げて欲しいとの王族の要求に応える為に宮城の詳細を知る為に宮廷書庫に来ていた。
そこで見つけたのは初代王の日記だった。
日記には此処に宮城を作る経緯が書かれていたが、後日談としてこの地にはエルフの王国があり、この国を乗っ取った理由が当時行動を共にしていたステファンの企みに乗せられたと書かれていた。
ステファンはこの地の王女に一目惚れしてエルフ王に娘をくれと言ったがハイエルフの王女を冒険者に身を落としたエルフにやらんと断られたのを根に持って我々に王国滅亡を手伝わせた。と書かれていた。
初めに、この地を守るドラゴンに酒を飲ませて酔わせて眠った所を仕留めてから『エルフの肉を食えばお前たちも長生き出来るぞと煽ったのもエルフのステファンだった』その結果、この地を手に入れエルフ国は滅んだが目当ての王女は既に国を脱出して居なかった。我々を騙した罰だ!
ステファンにはこの地で冒険者ギルドをさせて近くに置く事にした。と書かれていた。
エルフの姫なら多くの侍女や護衛も連れて行っただろう。
それでこの辺には綺麗なエルフのお姉ちゃんは居ないんか!
あのバカエルフめ!
それにドラゴン征伐もそんな逸話だったのか、城の結界もそのドラゴンの魔硝石を使ってとは初代王も策士じゃのう。知らなんだ。
それより、何処かに逃げた綺麗なエルフちゃんに会いに行かねば、それにはルークを早く一人前にしてとルーエンは思うのだった。
*****
それから数年後にルーエンは引退してエルフの里を目指すのだった。
あのステファンから逃げるのだったら、この国にはおらんなあ。
隣のアルノーにでも行くかと国を越えてアルノー北部のユスリムまでやって来た。道中の宿場町でエルフの噂を聴きまくり、みんなこっちだろうとの話でやって来たのだが。しかし、此処で情報は途切れてしまった。みんな口が硬い。
ルーエンは此処で露天の薬屋を始めた。『ポーション売ります』の手書きの看板を掲げて。そして当然のようにエルフの情報があれば格安で!
もちろんポーションはよく効く『ただ行って見たいだけなんじゃよ』と無害アピールも忘れずに。
一月もすると、やがて『あんな爺さん一人大丈夫だろう』との空気が広がって少しづつエルフの里の情報が集まって来た。『あそこは迷いの森にあるから、爺さん道に迷って死ぬなよ』と声を掛けてくれる人も出て来た。
そろそろ行くとしようか『エルフのお姉ちゃん。待っててね』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます