第28話 ユスリムの街〜2

『ジョシュアさん。門番にエレナがエルフと気付かれたのだがこの街にエルフは多いのか?』

『昔から住んでるエルフも居るから他の街より多いと思います。森に住むエルフとは仲が良いとも悪いとも関わりが少ないので何とも思ってないエルフが多いようです。昔は森に住んでるのが元王族の末裔だと知って不快に思った者も居たようですが、森から出て来ないので接触もなく最初だけだったようです。』


『では地元のエルフが手引きした可能性は少ないのか?』

『エルフは引き篭もりが多いのでわざわざ森の奥に出掛ける者は居ないと思います。』

『では内部犯行か何らかの事故と襲撃が重なったか?或いは迷いの森を破る術でもあるのか?』


『フルムンドに有ったと言うエルフの王国には迷いの森のような結界があったのですか?』

『それは親の世代なので長老クラスなら知る者も居たかも知れませんが、思い出したく無い過去の災いなので昔の王国の話をする者は少なかったのです。我々世代も聞いてはいけないんだと思って聞きませんでした。』


『…。』


『隠蔽を晒す魔法?』


『隠した物を見つける魔法?』


『尊師の魔法陣に何か有ったような…』と手帳を出して探して見た。

物忘れが多くなった尊師が物を探すのに作った魔法陣がある。索敵魔法の応用だ。これが使えたなら迷いの森も抜けられたかも知れない。


『ジョシュアさん。エルフの森に人族が訪れた事はありませんでしたか?』


『確か一人居たようです。』

『名前は知ってますか?』

『覚えていません。』

『ルーエンと言う名の老人ですが…。』

『老人だったとは聞いています。』


尊師がエルフの里に行った話を誰かにして魔法陣も手に入れたかも知れない。


『ルーク、誰が手引きしたのか分かったの?』

『確証はない可能性の話だが、私を救ってくれ育ててくれた尊師は元宮廷錬金術師長のルーエン氏で錬金術の全てを教えてから引退して出て行かれた。私も結果的に辞めされられたのでルーエン氏に詫びを入れる為にこのアルノーに住まわれていると聞く尊師に会う為に訪れたのだよ。』


『直接エルフの里を襲うような人ではないし手引きをする人でもない。』


『誰かが利用したかも知れないし違うかも知れない。』


『これからどうするの?』

『エルフの里を調べてからルーエン氏を探すよ。エレナはどうする?』

『里に行ってから決めたい…かな』

『わかった』


明日、エルフの里を目指してユスリムを立つことにした。

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