第27話 ユスリムの街〜1

更に街に近付くと『此処に来た事ないけどエルフが居るみたい』


エルフはエルフと気付くらしい。匂いなのか魔力なのか独特らしい。『ハイエルフと気付かれるとまずいかも知れないね』

ルークはエレナの帽子の裏に急いで簡易の認識阻害の魔法陣を描いた紙を貼り付けて門番に挨拶して抜けようとしたら


『お前はエルフか』と呼び止められた。

『私の娘だ!』

『人族だろう』

『あゝ人族だが友に頼まれて親代わりをしている』エレナは私にしがみ付いている。

『わかった。もう入ってよし!』

『ありがとう』


先ずは宿屋を確保してから冒険者ギルドに行く事にした。

人通りの多い所にある宿屋に入って二人部屋は空いているかと聞いた。

宿の主人は私とエレナを見てからギルドカードを念のために見せて欲しいと言った。仕方なく二人のギルドカードを見せると部屋へ案内すると言って店番を他の者に任せた。


何か高そうな部屋だけどと思いながら、部屋に入ると宿の主人は戸を閉めてエレナに平伏した。

『姫さま。ご無事でしたか心配しておりました。私は里で帳簿の管理をしていましたジョシュアで御座います。覚えておいでですか?』


『顔は見覚えがあります』

『あゝ、姫さまが生きておられた〜』とジョシュアさん。泣き崩れた!

『取り敢えずジョシュアさんとやら、涙を拭いて正気に戻ってください。我々は狙われて居るんです。話は後にしましょう。取り敢えず持ち場に戻ってください。分かってもらえますよね』


『お見苦しい所をお見せしました。後で食事を運ばせます。私の古い知人の娘さんが来られた事にします』と言って戻って行った。


『エレナ、本当に覚えている?』

『たぶん。見た気がする』

『まだ敵か味方か分からないから用心しないとね。里に居ても引き入れた裏切り者の可能性もあるから用心に越したことはないんだよ』

『うん。分かった』


食事を頂いた夕刻にジョシュアさんが部屋にやってきた。

彼の話によるとエルフの里には何人か戻ってるようだが長老など主要な人物が居なくなって、以前とは比べようも無いくらいに寂れてしまっている。


『襲撃は突然でした。エルフの里の周りには迷いの森と呼ばれる秘術を使った迷路のような仕組みになっていて人族は入って来れない筈でした。

誰かが引き入れたとしか考えられませんがそれを知る術を知りません。長老たちが殺された為か迷いの森の効果も消えた様で、攫われた姫さまが戻られた時にこの街に立ち寄られるだろうと此処でお待ちするしかなかったのです。』と一気に話した為か、そこでへたり込んでしまった。


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