第26話 襲撃に遭う

ルークとエレナは宿屋の部屋で寝る際には二人を不意打ちから守る防御結界を張っていたのだが宿屋の外と中から攻撃魔法が放たれたらしい。

咄嗟のことで何がどうなったのかわからないままで部屋の床が抜け落ちて一階の食堂に落下した(らしい)。


此処はどこ?状態でエレナを探して簡易結界を張り直した。

寝る前にはいつも結界の魔法陣布を広げてそこに魔石を置いて寝る習慣にしていたのだが初めて役立った。

襲撃は初回だけで追撃は無かったが、一息付くと宿屋の主人が起きてきた。

『何がどうなったんだ!』と叫んで直ぐに咳き込んだが、宿屋はほぼ崩壊状態で埃が舞って殆ど見えない。

荷物や魔法陣布を回収して宿屋の敷地の外まで出たが周辺住民も起きてきて騒ぎが広がりそうだった。

『エレナ、この場は逃げた方が良いだろう。行くよ!』と声を掛けて風魔法を体に掛けて高速で街の外まで避難した。


『エレナ、誰かに狙われたらしい。たぶん君がターゲットだ』

『まだ暗いけど、隣町まで移動するよ』とホバーボードを出して、とにかく遠くへと移動を始めた。たぶん追っ手がいるだろうから、このまま東へ向かうより少し遠いが北東のユスリムの街まで行く事にした。エレナもそっちの方が良いと言ったし姿を隠すにはその方が良いだろう。


途中の岩陰でキャンプを張って一寝入りする事にした。

『怖いよ。ルークパパ』

『大丈夫だ。この為に結界をいつも張ってるんだから』


パパに戻ったのがルークにとってちょっと嬉しい。


ユスリムの近くまで来てちょっと休憩した。

『エレナ、そろそろお前の正体を教えてくれ。エレナ・ハイ・ファルセット。誰が敵なのか知らないとお前も守れないし俺自身も危ない』


『高ランクの鑑定出来るんだよね。気付いても言わないでくれてありがとう』


『改めて、私はハイエルフのエレナ・ハイ・ファルセットと申します。エルフの里の長老の孫娘で元々はフルムンドに在ったエルフの国で王族だったと聞かされていました。そして、人族の罠に掛かって国を追われてこの国に身を寄せたと聞きました。人族は長命なエルフの肉を食えば自分も長生きするとの嘘を信じて我々を襲い子供さえも食用にされたのです』


『エルフの里はドラゴンの住むお山と森を守るのが務めでドラゴンもまたエルフを守護する関係でもありました。フルムンドのドラゴンは高齢であった為か我々の願いが及ばず、かのドラゴンも討伐されたと聞きました。この国に住むドラゴンも人族にとっては栄誉を得る為の討伐対象となり、我々エルフが邪魔だったようです。我々を襲ったのは人族ですがこの地に古くから住むエルフも関わっているのではと考えています。』


『エルフの里に帰って残っている者が居るのか、ドラゴンは何故助けてくれなかったのか真相を知りたいのです』

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る