第18話 アルノー執務室

アデル・バン・シュッツガルト・アルノーは従者にフルムンド王国の王都宮城の結界を調べるように命じた。王都にはアルノーの間者も侵入させているが『宮城に異変あり』との情報は得ていたが結界消失までとは思わなかった。


近年では王族の浪費で騎士や魔導師の補充が追い付かず戦力が落ちているとの情報も得ていた所で結界消失なら国取りの好機かも知れない。錬金術師の確保と開戦の進言でもしましょうかね。


*****

アルノー王国王城執務室では第三王女アデルからの報告を受けていた。

アデルは王位継承権5位と女王就任の可能性は薄いと自ら冒険者に身を隠して周辺国に侵入していた。

刻より届けられる報告は好戦的で国王トーマス・バン・シュッツガルト・アルノーは笑みを浮かべて報告書を読んでいたのだが今朝届いた報告では『フルムンドを攻める好機と思われる。鋭意探索中です』とあった。加えて元宮城錬金術師長のルーエン氏と懇意を図り弟子の元宮城錬金術師のルークも手元に留めるのが肝要だと思われるがルーエン氏はアルノーに滞在されている可能性が高くルークも合流されると思われるとの情報も加えられていた。


トーマス国王は宰相のアンドレ・バン・デュランを呼んでフルムンドへの開戦と支配について検討を始めた。


『直接攻撃はこちらにも損害が生じます。ここは密かに爆薬を仕掛けて宮城にダメージを与えましょう。王都が安全ではないと知れば民衆は動揺します』

『国内をガタガタにして民意を失えば我々の統治を望む者も現れます。まあそう言う方向へ民衆を誘導するのが諜報部の役割りでもありますから』


トーマスは密偵に宮城破壊工作を命じた。

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