第19話 エルフを買う
ルークの日課の一つに孤児院回りがある。ルーエン氏に拾って貰ったように自分と同じ境遇の孤児が居るのではとそして後継者を探す事も兼ねていた。もう後継者探しの目的は無くなったが自分の錬金術師の技量を継ぐ後継者を探す事はルーエン氏の財産を残す意味で大事な役割だと感じていた。
ルークの居た孤児院はルーエン氏の告発で王都教会が動いて取り潰しになっていたのだが孤児が居ない訳ではない。冒険者が命を落として子供が残されたケースもある。奴隷制度も表立っては禁止されていても闇社会の稼ぎになる。
ルークは裏通りで奴隷商の檻を見つけた。既に店仕舞いらしく檻の中には襤褸布が落ちているだけだったが、ちょっと嵩のある襤褸が気になって鑑定してみた。
種族: ハイエルフ
性別: ♀
名前: エレナ・ハイ・ファルセット
職業: なし
レベル: 10
生命力: 3/1215
魔力量: 12/1000
防御力: 5/30
攻撃力: 1/30
知性力: 125/1000
何だ死にかけている。
おい!誰か居るか!
『もう商売は終わったよ』
『檻の中に死にかけが一人居るだろう』
『あゝアレは今晩は持たないだろう。売って直ぐ死んで文句を言われたくないから売らないんだ』
『なら文句を言わないなら俺が買っても良いんだよな』
『なら銀貨1枚でイイや。死んでも文句言うなよ』
ルークは小金貨1枚を渡した。『こんなに貰ってイイんですか?』
『元気になってから文句を言われたくないからな』
『文句は言いません。お買い上げありがとうございます。旦那様』
『隷属の首輪をしているなら直ぐに外せ!』と外させたがもう虫の息だ。
ルークはエルフの少女を抱えて宿に戻って来て部屋に駆け込んだ。
ルークは先ずポーションを飲ませようとしたがもう飲む気力も残ってない様子だ。ルークはアイテムボックスから実験に使うスポイドで口に少し流し込んだ。
が、増えない。もうポーションを吸収する力も残ってないのか。
ルークは少女の指先をトントンと叩くように少しづづ魔力を流し込んだ。
大量の魔力を流すと体が持たないのだ。
少女の魔力量が少し増えた事で生命力が少し回復する。これの繰り返しだ。
やがて口元が少し緩むとポーション量を増やしてゆく。
完全回復して少女をクリーンナップ魔法陣布に座らせ魔法陣を稼働させると少女の襤褸布が新品のように綺麗になり髪も体も風呂上がりのように綺麗になり座った場所には薄黒い粉が残された。魔法陣布に溜まったゴミは窓から捨てた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます