第17話 王都にて
ステファンは王都に戻ると錬金術師協会長に盗聴の恐れのない郊外の隠れ屋敷にてルーク氏との会話を報告して万一に備えて会員資産の王都からの移動と隠蔽を打ち合わせた。そして王都ギルド幹部を集めてギルドメンバーの資産を同じく移動する事を進言して運用資金以外は過疎地に金庫を移す事にした。ルーク氏には金庫の設計を依頼してアルノー王国への退避を容認した。
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その後監査メンバーは各支部との共通化と視察及び極秘に隠し金庫の候補地探しに各支部を訪れた。特に新規に開設されるギルドは金庫設置の有力候補地になる為に視察は重要視された。
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レンドリン騎士団長は冒険者ギルドを訪れていた。
『ステファン殿は頻繁に王都を離れているご様子ですが何か情報でも御座いましたか?』
『ギルド支部で不正が見つかりましたので各支部の監査などに動いていただけですよ』
『ほほう、どのような不正が有ったのですか?』
『余り口外したくないのですがポーションの値段が違っていたり品質管理が徹底されていなかったりと瑣末な事なのですが苦情が来る前に対処出来たのが幸いです。人の入れ替えや交流を増やす為に職員の移動などを行っていたのです』
『ギルド長はやはりエルフが多いのですか?』
『結果的にエルフやドワーフのような長命種になってしまいます。長命種は悪い噂も長く尾を引きますから短命の人族のように死ねばチャラになりません。人族の何世代もの間に語られますので長生きは良くも悪くもあるのです』
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『それでルーエン氏やルーク氏の情報はありましたか?』
『他国へ移られたのではと推測しています。それにルーク氏が消えて半年も過ぎてますが宮城に変化も無さそうですので少し不便でも問題無さそうじゃありませんか?』
『まあ城内がトーチの照明に変わった位で問題が起きていないのですが、それがちょっと不安なのです。何かを忘れているようで。』
『エリック様が王位に就かれれば国内も安定するのではないですか?』
『まあそうなんです』と騎士団長は帰って行った。
王位を継承されればお披露目の為に周辺各国が招待されるだろう。その時に結界が消滅している事もバレるし王宮錬金術師長も不在となればきな臭くなる。それまでに金庫を移動されなければとステファンは考えるのだった。
宮廷魔導師長ピエール・バン・ベルナールはどうしたものかと悩んでいた。
宮城の防衛は錬金術師長が居て成り立っている。
宮廷魔導師は王都の防衛担当で宮城が結界で覆われているから成り立っている。後ろに強力な結界があるから前線に立てるのだがそれが無くなってしまったのだ。
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