第13話 アレッサの街〜1

アレッサの街で護衛料として金貨5枚を貰って商隊と別れた。この金額が妥当かどうかは分からない。まだ金銭感覚がわからないので冒険者ギルドで調べることにした。


アレッサの冒険者ギルドは王都から遠い事もあって王都のようにギルド内にポーションとかの価格表が掲示されている訳でもなくアイテムの販売意欲は少ないようだ。護衛料はポーション代と合わせて割り増しされていたようだ。

ギルドで料理の美味しいおすすめの宿を紹介してもらってから錬金術師協会の場所を確認して宿にチェックインした。宿代は食事代込みで銀貨1枚と銅貨3枚だった。番号の書いた木札を貰って2階の部屋に入り内側から鍵を下ろす。部屋は2畳ほどで藁の上にシートを敷いただけのベットがあるだけの簡単なもの。『金額から寝るだけならこんなものなんだろう』と納得した。


夕食は具の多いスープと雑穀パンと飲み物としてエールを頼んだ。寝袋と外套の入った背負バックは部屋に残した。王都を出て暫くしてからこのバックに自分以外には腐食の罠を仕込んだ凶悪な罪が与えられるのだ。この腐食を治すには無毒化魔法とミドルポーションが必要になる。加えて盗人の刻印がされる罠まで施されている。

この罠は王都の自警団からスリ対策を求められて囮財布を盗んで財布を開けると盗人と身体中に焼き印が付く。ポーションを飲めば治るのだが頭から頭巾を被ってポーションを買いに行くので直ぐに自警団に捕まるのだ。


夕暮れの街を散策しながら錬金術師協会を訪れ、協会創立者のルーエン氏の情報を求めたかった。尊師には後が継げなかった謝罪と経緯を説明しておきたかったのだ。

錬金術師協会の受付でマスターランクの金の会員バッチを示して支部長との面会の予約をお願いした。明日でも良かったので予約だけで済ますつもりだったのだが直ぐに会えると商談室に通された。


******

『こんにちは。ルーク・シュトラウスと申します。今日は予約だけのつもりでしたがお時間を頂きありがとう御座います』

『アレッサ支部長のブリックス・グレインと申します。』

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