第11話 商隊と出会う〜1

ルークはアイテムボックスから魔導師が使う様な杖を取り出した。やはり手ぶらだと安定に悪いし武器が無いと不安だ。この杖の先端に鋼鉄の板を絞り込んで作った筒に魔硝石と緩衝材を組み込んだ魔道具になっている。

直接の打撃には弱いがルークは剣の修行をした事が無いので魔法攻撃に使えるのだ。と言っても組み込んでいるのはストーンバレットの魔法陣だけなんだけど。


もう少し足を固定する器具でも付けた方が良さそうだな。空中だと風に煽られて余り高く飛べないなあ。やっぱり跨って座った方が安定感がありそうだ。と改善策を思考するのだった。


******

何か前方で騒ぎでも起こっているようだ。と速度を緩めていたところ見えて来たのは商隊が盗賊に襲われているようだ。

バレット!

バレット!

バレット!

ルークが放った攻撃が盗賊の体を貫通し、中には頭を吹き飛ばされた盗賊もいる。

『な、なんだ!逃げろ!』と盗賊たちが慌てて逃げて行った。


う〜ん。ちょっと加減が難しい。魔物だとここまで酷く難ないんだけど人間は脆すぎる。別に魔力を込めれば発動するんだけどキッカケが無いと魔力を込め難いからバレットと言うことにしたんだけど。


『ありがとう御座います。私は護衛責任者のホートン・ギルバートと申します。助かりましたがどちら様か伺っても宜しいでしょうか?』と商隊の護衛官が尋ねて来た。

『偶然に通り掛かった者ですから名乗る程の者ではありません。』と誤魔化してみた。

『高名な魔術師様か魔導師様とお見受けします。本当にありがとう御座いました。』『こちらも多くの犠牲者が出ましたので宜しければ護衛料をお支払いしますのでご同行願えませんか?』見ると多くの護衛官が重篤な様子に見えた。

『ではハイポーションをお分けしましょう』

『イヤこの傷ではハイポーションでは治りませんよ』と言われたがマジックボックスに手を突っ込んでハイポーションを取り出して飲ませると忽ち傷が癒えたのであった。

『こんなハイポーションは見た事が有りません。どちらで作られた物なのですか?』

『少なくとも王都の冒険者ギルドでは売っている物ですよ。粗悪品が出回っているのでギルドでは鑑定したポーションしか売ってないんですが地方はまだ整備されてないかも知れませんね』

馬車に乗せてもらえるなら同行致しますがと言うと了承されたので乗せてもらうことにした。

怪我人の程度に合わせてポーションを配ると犠牲者も出ずに再出発出来た。

ホバーボードだと馬車の速度に合わせるのが難しいから仕方ないのだがホバーボードをアイテムボックスに仕舞うところを見られて『立派なアイテムボックスですね』と言われてしまった。



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