第9話 ギルマス宮城に呼ばれる〜1

『冒険者ギルドのギルドマスターをしていますステファン・サルバトーレと申します。国王様はご健勝で在られるご様子ですが如何為されましたでしょうか?』


そうギルマスは宮城謁見室に呼ばれたのだ。


『其方も気付いているだろう。宮城内の明かりが消えて暗いのだ。』

『確かに暗う御座いますが私に何か関係があるのでしょうか?城内の設備は錬金術師長の管轄だと承知しておりますが私には門外漢の為に解りかねます。』


『ステファン殿は宮城内の何を知っている?』

『私は初代王がこの宮城を建てられる際に他の者に見えぬように外から結界を張っておりましたので中の詳細については存じ上げておりません。』

『但し初代王が討伐されたドラゴンの魔硝石を基礎に置いて魔法と物理結界を張るとはお聞きしました。これを周知する事でこの城への攻撃は無意味だと知らしめる為でもあるとの事でした。』


『城内の照明に付いては何を知っておる?』

『噂は御座いましたが事実かどうかは存じませんので発言は控えさせて頂きます。』

『イヤ申せ!事実と異なっていても責めはせぬ。』


ステファンは一呼吸置いてから当時の噂を話出した。

なんでも先代の王妃様が油を燃やした明かりは油臭いと何とかしろと錬金術師長に命じられたとそれに加えて物見台に鳥が侵入したがたまたま鳥で良かったが侵入者ならどうなっていた事かと結界の盲点を指摘されて改修を命じられ錬金術師が城内で何やら工事を行っていたそうです。それ以上の事は存じません。


その場に同席したレンドリン騎士団長に対して『何か付け加える事はないか?』と王に問われて保安上の事なので此処で発言しても良いものかと躊躇したが『許す!』と言われ侵入者を感知するセンサーを付けて周辺の魔石照明が赤く光る様に、離れた所は薄いピンクに灯る仕掛けになったと説明された。

恐らく錬金術師長の部屋へ入れば何か分かるかも知れませんが魔法で守られており開ける事が出来ませんでした。と報告された。

第一王子のエリックが以前に入ろうととしたが初代王からの厳命で入れるのは錬金術師長と歴代王のみにせよと命じられているので扉への魔力登録は出来ないと拒否されたと息巻いた。

では王様は入れるのですね。と問われたが入った事も魔力登録した事実はないと言われた。『そう言えば一度地下の錬金術師長の作業部屋へ来て欲しいと言われたが用事が有れば其方が来れば良いと断った事が有ったな。』と回想された。


『宮城の極秘事項だったので直接説明する必要が有ったのだろう』とステファンは独言を呟いた。

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