第8話 金を生まなければ錬金術師ではない

時は遡りルーエンは世の錬金術師は貧乏が多いのが気に入らなかった。冒険者の為にポーションを作ってもその労力に比べて得られる収入が少なのだ。高価な魔導具を作っても錬金術師同士が真似をして安値競争になってしまう。錬金術師の地位向上には錬金術師が本当の貨幣を生み出す仕組みを作らないと地位向上にならない。

ルーエンは同じ志を持つ錬金術師を集めて錬金術師協会を立ち上げる事にした。そして自分たちが作った魔法陣には鑑定を行うと錬金術師協会の印が現れるように魔法陣に細工を仕込んだ。この協会販売の魔法陣を使って作られた商品を外販する際には協会に謂わゆるロイヤリティを支払うシステムを作る事にした。

続いて冒険者ギルドのギルドマスターステファンに錬金術師協会の印が付く商品の仕入れと販売契約を結ぶ事にした。

一般的にポーションなどは魔力を込めながら薬草を煮立てて作るのだが作り手の魔力量や混ぜ方などでバラツキが多く出る。一方で魔法陣を使ってポーションを作ると安定した品質のポーションが短時間で出来上がる。

王都内に在住の錬金術師を集めてルーエンの魔法陣でポーションを作ってギルマスのステファンに評価させて誤差の少ないポーションが出来るのを確認させた。

冒険者ギルドは錬金術師協会会員が納めたポーションに手数料を足して販売し仕入れ代金からロイヤリティを引いた額を仕入れ値として買取る事にした。ロイヤリティは錬金術師協会に納められ魔法陣作成者の口座に入金される。

それに加えて買い取られた魔法陣を改良したり参考に作られた魔法陣に対して原作者と改良者との間でロイヤリティを折半するシステムを作った。魔法陣の鑑定は協会長を含めた検討委員会でロイヤリティの利率が決められる。

協会長も錬金術師なので自分でも改良案を出して採用されればロイヤリティの恩恵に預かれる仕組みになっている。新しい魔法陣の開発に意欲を燃やすルーエンには一度作ればどうでも良い魔法陣に興味はなく新しい魔法陣を作れない錬金術師は魔法陣を買って商品を販売した方が実益が大きい。

これで錬金術師協会も冒険者ギルドもWin-Winで儲かるのだ。

ルークも夢で見た嘗て暮らしてような世界で見た温水洗浄便座やドライヤー、扇風機などを商品登録した。

ホバーボードも登録したかったがバランスが大事で転んで怪我をして、その治療にポーションを買ってもらう~~~ちょっと罪悪感が頭を掠めるので今回はやめとく事にした。

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