第4話 魔法陣が起動しない
第一王子のエリックを我が手に落としたもののセシリアはルークの残した魔法陣が起動しない事に慌てていた。エリックも『ルークが起動させるのを確かに見たのに何故出来ないんだ』と気色ばんだ。
そうセシリアはルークから魔法陣を盗みエリックは自分に遜らないルークが気に入らず宮城から追い出す口実を常に考えていたのだが『何故上手く行かないんだ!』と感情が爆発しそうな勢いだ。
ルークは恩師ルーエンから城から出たいなら後継者を作れと言われていた。そしてその者は私の様に自分で選べとも。しかし第一王子から『お前にも弟子を付けてやろう』と一方的に与えられたのがセシリアだった。
ルークはポーションの材料と作り方の魔法陣を与えてるだけで錬金術師長の部屋には危険な物があるからと入れなかったのだがエリック王子から度重なる要求で完全フルポーションの魔法陣を錬金術師長の作業部屋で起動させる事になってしまった。
まあ完成してるんだけど魔法陣の見た目を良くする為に飾りを掻き入れたいと少し発表を遅らせていたのだがエリックに気を逸らされている内にセシリアに魔法陣紙を盗まれたのだ。
後で気付いたもののあれは試作品だし起動出来ないものだからと高を括っていたのだが、あれで貶められるとは思っても見なかった。だってあれは錬金術師が見れば未完成の魔法陣と一目の試作陣なのだから…。
本物は布に描くか刺繍を施して、それ也に格式ばった魔法陣に仕上げるのが錬金術師の威厳を高める効果があると教えられていたのだがあれで起動出来ると本当に思ってるのかな?と油断していた。
まあ完成した魔法陣は手帳に描いているし手帳はアイテムボックスの巾着袋に入れてるし、その巾着袋も尻ポケットに作ったアイテムボックスに入れてるから見た目は何も持っていない事になっている。尊師から常に何があるか分からんから貴重品は身につけておけと言われていた。尊師も国王が代替わりした際に私も引退したいと申し出たのは新国王が国政にも国防にも無関心だった事もあり簡単に了承された。想えば錬金術師が蔑ろにされる事を見越しての忠告だったのかも知れない。
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