第3話 7番

なぜ7番なのだ! ルーエンの問いに7番目だから……。と答えるしか無かった。

孤児は12人居た。常に。13番目の孤児が来ると1番が居なくなる。そして1番と呼ばれる様になる。

孤児院にとって12人を超えると食費が嵩み12人からの魔力で教会の魔石の魔力は満タンとなるからそれ以上の孤児は要らないのだ。どうせ居なくなる孤児に名前を付けると愛着が湧くし孤児たちにも良くないと番号で呼ばれていたのだ。


ルーエンは今日からお前の名前はルーク・シュトラウスだ。

それから俺は、否私は読み書き計算などを宮城外の孤児院で学び午後は恩師の元で錬金術を学んだ。宮城に暮らすからと言葉遣いも直された。宮城の出入りには恩師ルーエン殿から預かった錬金術師のメダルを掲げよと言われその様にしている。どうもこのメダルを掲げた者を通さないと祟るぞ!とルーエンが脅していた様だ。

ルーエンの教えた錬金術は多岐に渡り各品質のポーションの作り方からポーションのガラス瓶の作り方まで様々だ。そして最後に教えられたのがアイテムボックスの作り方と祟り方、そしてこの城の秘密だった。


この宮城と教会を守る結界を作っている魔硝石は初代国王が討伐したドラゴンの魔石であり場所は錬金術師長の部屋奥の寝室からの隠し通路を下った先にあった。錬金術師長の作業部屋にはこの魔硝石に繋がる小型の魔石があり此処から魔力供給できる様に作られている。此処に入るには魔力登録した者しか入れず初代国王も国王以外は場所を教えるな魔力登録もさせるなと厳命されていた。この城を守るのが初代国王から命じられた錬金術師の使命なのだ。


恩師ルーエンからは誰でも魔力を注げば使える魔法陣と自分だけの簡略した魔法陣を描いた手帳を作る様に指示されていた。魔法陣が描かれた布には魔法の細かな発動手順や内容が描かれており錬金術師なら何を生み出す物か材料まで把握出来る優れ物だが起動するには膨大な魔力が無駄に必要になる。それが他の魔力持ちが起動出来ないルークだけの魔法陣として作らせた物なのだ。いずれルークが完成させるだろう手足が失われていようとも元通りになる完全フルポーションが他人に取られない為の防御策としての魔法陣の描き方を教えたのだ。それも完全に見えて敢えて一箇所頭の中で描く追加の魔法陣が必要な事を隠して作らせたのだ。著作権のない世界だからこその発動トラップ。希少な魔法陣ならではの錬金術師が仕込む独自の魔法陣が存在する世界なのだ。

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