全体の文章量が気にならないくらい、スルスルと読みやすい作品です。
一話一話に出てくる人の人数が少なく、また全体を通して覚えている必要がある人数が絞ってあるため、前に戻って読み直す必要があまりないのもあり気軽に読みやすいです。
主要人物たちの性格が互いに共通点が少ないからこそ、それぞれの性格が際立っていて、寄り添ったり相手を理解すること自体はできても共感とは遠い場所にいるというのがどうしようもなく孤独で、美しいなと思いました。また、それぞれ性格や思考の歪さはあって自分とは全然違う性格だと感じるのに、なんとなく共感を覚えてしまうことがあって、深みのある人物たちだなと思いました。
一回読むだけでも十分面白い作品ではありますが、わかりやすい伏線がたくさん配置してあるので、読み終わった後にまた読み直してみると後のストーリーと重ねられる部分や登場人物の持っている秘密の一端を見つけられたりできて、一作品で二度おいしい作品ですので、一度読み終わった人も是非また読んでみてください。