エピローグ

 ところで知らなかったのだが、この世界では寺院で死者の蘇生そせいが可能だそうだ。骨さえ残っていれば生き返る事ができて、龍の炎で灰になると蘇生はむずかしくなる。私の場合は比較的、安上やすあがりで復活ふっかつできた。安いと言っても、駆け出しの冒険者には痛い出費しゅっぴだ。


「ね、洞窟どうくつで言ったじゃない。『お金は大事だいじよ』って。依頼いらい達成たっせいした礼金れいきんもあったから、その分も回して蘇生そせい費用ひようにできて本当に良かったわ」


「あたしをてていけば良かったじゃないか。あたしの体を袋に入れてはこぶために、中の金貨も捨てたんだろ。結局、かせぎなんかほとんど無くなってるしよ」


 前にも述べたが、冒険者ギルドから支給された袋は魔法で、重い物も軽くして運べる。これで仲間の遺体いたいを持ち帰る冒険者は多いんだそうだ。


「それも前に言ったわ、私は最高に人生をあじわいくしたいの。貴女が居ないと、最高の人生にならないもの」


「……そりゃうれしいね」


「それに、王城おうじょう首飾くびかざりをもどせて、私達への評価は高まったわ。今後はもっと、お金になる依頼いらいを受けられるようになるわよ。私のパートナーなんだから、これからも私のためにかせいでね」


 やはり私は、相棒から利用されてるんじゃないのか。べつにいいか。今の私達は宿のベッドでゴロゴロしている。これまでと違うのは素面しらふという点だ。もうさけわけにしなくても、私達は抱き合って眠れる関係となっていた。


 冒険をすすめはしない。しかし栄誉えいよて影響力を持てば、この世界を変える事もできるだろう。それを達成するのは私達かも知れず、貴方あなたかも知れない。いつかりゅうべるものへ。ちからるための旅路たびじひとりではくるしい。どうか素敵すてきな相棒をて、貴方あなたの人生がかがやかん事を。

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いつか龍を討ち統(す)べる者へ 転生新語 @tenseishingo

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