第24話 獣魔達の日常と王国法
私はカティー、ご主人様と共に異世界に渡り異形なものとへと姿を変えた者。
それでもご主人様と似た今の姿はかなり気に入っている。
今の私は空を制する者、「黒きフェニックス」だ、元はカラスだがな。
今の私の使命は、ご主人の秘書として身の回りの雑多な煩わしい問題を解決することにある。
私の余暇は、ご主人様の残滓を掻き集めて記憶に留めること。
そう私は、ご主人様の一部となることが今の望みなのだ。
黒く濡れたその髪を梳かしながら私は、ご主人様のために当たらなコートを作るのであった。
私はコロネ、ご主人様に拾われた元捨て犬である。
毎日餌を与えられご主人に忠誠を誓った忠実な僕。
ご主人様を除けば、次に大事なものは食事である。
私はご主人様の食事を守る者である。
それ以外の使命はない。
私はムラサキ、ご主人に命を救われた者。
ご主人様と世界を渡り新たな力を授かった者、その力はご主人様にのみ使うべきもの。
毎日ご主人様の身につける衣服を織りながら、その身に危険を与える全てのものからご主人様を守ることが私の使命。
今日は3人で魔境に来ている、定期的に魔境に来てはご主人様が必要とする魔境の資源と魔物素材を補充に来ているのだ。
「ムラサキ、そっちに地竜が逃げたわ。」
カティーの言葉を聞きながら私の糸に絡めた地竜を引き摺りながらコロネのところに向かう。
コロネは収納の魔法が使えるため運搬役だ。
「今日の獲物はうまそうなやつが多いですね。ジュル。」
涎を垂らしながらコロネが地竜を収納する。
鉱石掘りもコロネの役割だ、獲物を見つけるのはカティーの役目、仕留めるのはムラサキそれぞれが役割を分担している。
しかし最近3人の会話に一つだけ不穏な話題がある、それは残り三つの星の中に入るべき仲間のこと。
「私は可愛い妹が欲しいわ」
カティーがそう言いながら空を統べる仲間を望む、私は海の食材が食べてみたいので
「コロネはイルカの弟がいい。」
すると長女役のムラサキが
「地球の食材を調達するためにも植物を統べる者がいいわ。」
と言う、確かにお肉やお魚もいいがおにぎりも捨てがたいわ。
今、3人は新たな仲間セルの扱いだ、
「弟にする?」
コロネが言うとカティーが
「かなり年上よ、お兄ちゃんですかね。」
と言えばムラサキが
「ご主人様の何番目の仲間かが大事だと思うの、だから彼は長男で弟。私が長女、カティーが次女そしてコロネが三女よ。」
と言えば皆が納得した。
最近三姉妹(?)は、魔境でも最強格になっており、3人揃って狩りに行けば向かう所敵なし状態だ。
今日も朝早くからコロネの要望で美味しいお肉を求めて魔境に向かい、地竜を狩っていたのだ。
「ご主人様、地竜のハンバーグが食べたいです。」
コロネが食材を持ち込みながらセブンにおねだりをしている。
暫くすると美味そうな匂いが香ってきて、三姉妹と末の弟が食卓に着く。
「美味いですね。こんな料理初めて食します。」
末っ子セルが言えば
「当然です、ご主人は最強の料理人です。」
とコロネが自慢する。
そんな食事風景が毎日のように繰り返されるのだ。
ーー それぞれの街の代官を決めよう
現在3つの街が稼働している、さらに近いうちに2つが追加される、
新たな街は、住宅専用と観光専用だ。
第一のフューチャーの街と商業施設の街アーケードと農業専用の街ファーマーの間の位置に住宅専用タウンヒルズを湖の近くに観光専用の街サイトシーリングを配置した、それぞれの街は運河と線路と街道で繋がれている。
3つの街は初期の部下の中から代官を選んだが、新しい街には新しく雇う部下から決めたいと考えている。
その理由は、我がサーチ伯爵と友誼を結びたい又はすでに密接な関係を築いている貴族から選びたいと言う理由がある。
カルメン王女が降嫁してきた関係で、表面上は敵対する勢力はないが裏から妨害やスパイを派遣する貴族がまだ多くいる。
そこで敵対または利用しようと考える不埒な貴族や商会などを罠や経営不振に追いやるために、俺はいくつかの手段を使って徹底的に対処している。
今日も欲深い商会が、反対勢力の貴族と手を組んで我が領内に侵入してスパイ行為と妨害行為を企てている。
ムラサキがその様子を監視し証拠を収集、セルが実行メンバーを拘束し自白をさせ嘘の報告をさせる。
調子に乗って俺に噛みついてきた商会長と貴族当主に
「これは私が入手した情報で裏付けも取れている、反証する事実がなければ王国法に基づいて処断させてもらう。」
と言えば
「こんな事実はない!」
「ワシはクセーゼ伯爵だぞ、不敬でないか!」
と騒ぎ出すも
「こちらの証拠を覆す実証がないようですね。残念ですがザーネン商会はこれより我が領での商売と取引は出来ません。クセーゼ伯爵は王国に判断を任せますので速やかに我が領からの退去を命じます。それぞれの期間は2日です、お間違い無いように期限を過ぎれば犯罪者として処断されます。」
と言い渡し宿からも追い出す。
ザーネン商会は速やかに退去したが、クセーゼ伯爵は居座ったために兵士に囚われ強制的に王都に送還した。
この行為に他の敵対勢力の貴族が難癖をつけてきたが
「王国法を遵守しない者に王国の貴族を名乗る資格はない。クセーゼ伯爵は隠居、1月以内に跡取りの申請がなければ、伯爵家は家名没収。」
と宰相が毅然と申し向けると、他の貴族も飛び火を恐れてそれ以上は口を出さなくなった。
これ以降王国内で王国法の遵守は、貴族の最重要なルールとなった。
「今回のことで我が王国内で問題視されていたいくつかの問題が解決に向かったと言う話は真か?」
陛下が宰相に問えば
「陛下その通りでございます。派閥争いや利権のためにうやむやにされていた争いに終止符が打たれるようになりました。これもサーチ伯爵のおかげかと思いまする。」
「そうか、良い効果を王国に与えておるか。これからのあの者の協力を願おう。」
と最近には見られないほどの笑顔を見せ合った2人であった。
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