第22話 薬草と鉱石がバカみたいに獲れ出した、それと嫁取り・・。

第2の街ガイアについて面白いっことが判明した。

岩山を回収した際に岩山の成分を鑑定したところ、鉱石が多種多様含まれていたのだ。

この世界では錬成という作業は、そのスキルを持つ職人が鉱石を抽出するのだが、鍛治や錬金についてもその道のスキルを持つ職人が行うのである。

俺は職人を多く集めていたし、孤児や仕事を無くした者たちに職人の元で修行させていたのだがそれがここに来て功を奏して来た。

ただ俺の鑑定でその者がどの職に合うのか事前に確認していたのは内緒だがな。


大量の岩山から大量の鉱石を抽出し、それをインゴットに変えてから必要な職人に渡しながら必要なものを作り出す。

需要と供給が上手い具合に釣り合いながら職人の所得が増え、周り回って領民が裕福になっていく。

孤児院の子供たちも12・3歳にもなれば、そこそこの賃金をもらえるほどの技術を手に入れられるため、俺が貸し与えている集合住宅から一般の住宅に仲間と移り住む者まで出始めた。


職人になるも農家になるも冒険者になるもまたは、領主の部下となるものまで職業は多くあり、自分で選んでなることが可能なのだ。

文字や算術を教わった孤児などは、更に商人や警吏となるものまでいる。


そんなガイアの街は、職人の街として有名になりつつあった。


第3の街のベニスは、水捌けを改良し広大な農地と牧草地を有する農業の街且つ水の街である。

農地には領内で自給できるように食料が栽培されているが、有り余るのうちに俺が薬草を育て始めた。

薬草と言ってもポーションの素になる薬草からいわゆるスパイスやハーブ類などの物から砂糖を取る甜菜やサトウキビにワインの原料の葡萄などの果物類も栽培している。

この世界はご都合主義的な環境があって、生育環境が違うはずなのに問題なく早期に収穫できたり、連作が問題なくできる。

さらに魔力を流し込めばその生育速度がさらに速くなるのだ、そこで魔境の腐葉土を畑にすき込むと同じく早期栽培が可能だと判明した。


我がサーチ伯爵領は、農産物各種に鉱石を含む金属加工業さらには以前から行なっているシャンプーや化粧水などの美容品と、特殊な生地で作られる既製品の洋服に豪華で美しいドレスなどがさらなる流行となり、多くに商人や観光客が訪れている。


ここに来て早5年、後2つほど街を増やすか考えているところだ。


ーー 嫁取りの準備



俺も18歳となった。

国王から

「もうカルメンを嫁がせて良かろう」

と催促が来始めた、そこで新たな新居となる屋敷とその周辺を整備することにした。


俺の創造土魔法は、スキルがカンストした模様で創造さえしっかりしておれば、小一時間で大概のものは建てることができる。

今も地下2階地上5階の屋敷の設計図を見ながら魔力を練り上げている。

「ビルド!」

という掛け声で目の前の地面が揺れ動きながら形造られていく。

「流石ですね。」

感心した声を上げたのは、最近俺の秘書のカティーの補佐をし始めた孤児院出身のレナだ。

彼女は勉強熱心な子で、文字の読み書きから算術まであっという間に習得した。

そこで創造魔法で地球の知識を詰め込んだ辞典を作り上げて読ませると、瞬く間に現代地球の文化に染まったのだ。

それからの彼女は、ドレスや洋服のデザインは元より便利グッツの開発にも余念がなかった。

そこでより権限が使える俺の秘書の補佐に任命したのだ。


彼女は俺の新しい新居にこの世で最新の文化的施設を盛り込むのだと息込んでおり、専属の職人を育てながら準備をしていたほどだ。


3ヶ月後、新居が完成し俺は王都に向かった。


ーー 王城にて



「陛下、カルメン王女殿下の降嫁準備が完了しました。」

と恭しく申し上げると

「ウム、ちと遅かったが・・まあいいじゃろ。」

と答えると、俺を離宮に連れていくと王妃と王女王子に俺の話を伝えた。

「セブン伯爵様、この時を一日千秋の思いでお待ちしておりました。」

と言うカルメン王女殿下の言葉に謝罪をしながら日程を決めていく。


3ヶ月後に婚礼と決まった。

俺はその一月前から王都に滞在し、王都民に対しお披露目を兼ねたお祭りを計画していた。

娯楽の少ないこの世界は、お祭りのようなものが最大の娯楽なのだ。

週末の2日に昼夜市を催す市場を王都中央公園にて一月行い、最後の週末に婚礼後馬車でお披露目のパレードだ、その日は俺からのご祝儀で振る舞い酒や食事が豊富に与えられると宣伝しておいた。


これらの宣伝を聞きつけた商人や近隣の王国民が王都に押しかけて、王都は非常に賑やかになっていた、当然それを狙う盗賊や野党が出没する事が予想されたので、サーチ伯爵私兵を千人連れて来て、王都巡回の応援をさせた。

そのため、安全な観光ができると王都の外に仮の宿泊所や市が立つほどだった。


ーー 婚礼



厳かな雰囲気の中、俺とカルメン王女殿下の結婚が行われた。

式終了時に気を遣ったのか、天から虹色の光が2人を照らすと言うハプニングがあった。


馬車でのお披露目のパレードは盛大だった。

多くの王国民が花びらやライスシャワーを撒きながら俺たちの結婚を祝ってくれて、隣の新妻カルメンも目に涙を溜めて感動していた。


その後10日ほどの貴族相手のパーティーを済ませると俺たちはサーチ伯爵領へと向かった。

整えられた街道は馬車にほとんど揺れを与えることなく、行き交う旅人からも深々とした礼をされた。


そして新居に着きその建物を見たカルメンが

「これはお城ですか?立派な建物ですが・・。」

と戸惑うほどの屋敷、周囲の庭は美しく彩られた花や樹木が幾何学的な模様をしており、流れる水や噴水が豊かさを表していた。

「・・素敵・・。」

その一言のみ呟くとカルメンは、身支度もそこそこに屋敷や庭を見てまわっていた。

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