第22話 折れない姉妹
軽い冗談なんだろうし、カタちゃんも適当に流せばいいのに。
「あれ? もしかして本当に告白だったの?」
こらこら……まだ続ける気かよ。今夜の五十嵐さんはいつになく突っかかるな。
「カタは
突然、銀髪が口を開いたかと思ったら、急になにを言い出してんだ。カタちゃん、顔が真っ赤になってんじゃねーかっ! ってまてよ……なんで赤くって……え? アレ? まさか……。
「へー、カタ、集塵くんのことが好きなんだ? 前はそんなそぶりなかったじゃない。いつから?」
「もし……もし、そうだとしたら、なんだって言うのですか?」
カタちゃんは真剣な表情で五十嵐さんに言葉を返した。
「なによ、本当に好きなの?」
「例えばの話ですよ!」
「例えばの話ね……そう、そうだとしたら、あたしのライバルかな?」
五十嵐さんはそう言いながら、俺の顔をチラッと見てきた。
なんだか、こっちが恥ずかしくなってきた。
「なんで集塵まで恥ずかしがっているんだ?」
「うるさいぞ銀髪」
銀髪の奴、また人の心を読みやがって……。
「ライバル? なにを言っているのですか? 嵐ちゃんはフラれているじゃないですか」
「あー! そういうこと言っちゃう?」
うーん。せっかく人が喧嘩にならないように話題を銀髪に持っていったのに……本当にこの姉妹ときたら……。
正直、もう付き合いきれんな……。
「あー、話の途中に悪いんだけど、食材も切れていることだし、ちょっと俺、外へ買い物にでも行ってくるよ」
「「えー! 逃げるの! 卑怯者!」」
「なに姉妹揃って人聞きの悪いこと言ってんだよ」
まあ、逃げるわけだが……。
「そうは言うけど、食材がなければ明日の朝飯は抜きになるんだからな。それでもいいのか?」
「それはダメだ! 集塵っ! 早く買ってこい!」
「ほら、銀髪もこう言っていることだし、それじゃあな」
「いいですよ。たしかに食事がないのは困りますし、わたしも行きます」
カタちゃんはそう言いながら俺の側へ寄ってきた。
「ちょっとー! なら、あたしも行くわよ!」
「嵐ちゃんは、お風呂に入ったんだから大人しく待っていて下さい! 居候のくせに何度もお風呂に入るつもりですか?」
カタちゃんの言葉に五十嵐さんは黙ってしまう。
まあ、居候は言い過ぎだけど、少し二人を離したほうが良さそうだし、可哀想だけど我慢してもらうか。
「出来るだけ早く帰るから、悪いけど五十嵐さんは銀髪と留守番していてくれよ」
「わ、わかったわよぉ」
五十嵐さんは少し不満気に返事をしてきた。
「それじゃあいこうかカタちゃん」
「はい!」
――雨、止んでいるかな……。
※次回、第23話は10月8日(日曜)19時6分の公開となります。引き続きカタちゃんと銀髪ちゃんを楽しんでいただけましたら幸いです。
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