第17話 告白
「立ち話もなんだし、そこのブランコに座りながらにでもしない?」
俺を呼び止めた五十嵐さんは、そう言うとさっきまでカタちゃんが漕いでいたブランコのほうへと歩いて行く。
少し長くなりそうだな……かしこまって、いったいなんの話があるって言うんだ。
キィィィ――と、音を鳴らしながら漕ぐ五十嵐さんを横目に、もう一つのブランコへと俺は腰をかけた。
「うわぁ、懐かしいー。こういうものって、いつのまにか乗らなくなってしまうわよね」
「そうだな……俺も公園の遊具を見て懐かしいって思ったよ。それで、話ってなに?」
「それね……うん。そう、あのさ……二年前、あたしがフランスに行く前に
五十嵐さんは漕いでいるブランコに勢いをつけながら話を始めた。街灯の灯りの下で彼女の姿が前後に大きく揺れる。
「覚えているよ……あの日は楽しかったな」
「楽しかった……かぁ……その日をあたしが台無しにしちゃったんだけどね。エヘヘ」
俺が車にはねられたときのことを、まだ気にしているのか……。
「あれは事故だし、五十嵐さんが気にすることじゃないさ」
「それでも……あのときはごめんなさい」
俺は彼女のその言葉に、返事をせずに黙っていた。こんなとき、なんて返していいかわからなくなってしまったからだ。
瞬間、ザザッと砂利が擦れるような音をたて、五十嵐さんはブランコを漕ぐのを止めた。
「集塵くん!」
「えっ⁉︎ な、なに?」
なんだなんだ、突然、声をあげて俺をまじまじと見つめてきているんだが……さっきのカタちゃんみたいじゃないか。
「好き……」
「え……」
「あたしは、集塵くんのことが好きだよ」
なっ! ちょっとまて……なんでいきなり告白……って、いや、あれ? これ告白、だよな? あまりに唐突な展開で頭が混乱してきた。
「二年前にカタに預けた手紙に書いたから、もうあたしの気持ちはわかっているとは思うけどね!」
彼女は満面な笑顔を向けて言った。たしかに、あの手紙には、彼女の思いがたくさん詰められていた……なんだか急に胸がギュッと締め付けられる思いだ。
「まだ返事……聞いていなかったから……」
――返事……え? えぇー! い、いまぁー⁉︎
※次回、第18話は9月3日(日曜)19時6分の公開となります。引き続きカタちゃんと銀髪ちゃんを楽しんでいただけましたら幸いです。
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