第14話 買い物に付き合おう
俺が雑草抜き中に見つけたピンクのパンツを、面白半分で観に来た古賀さん・金城さん・藤原さんの3人。
それから色々あり、全員一緒に夕食をとることになった。
…相変わらず、古賀さんの料理はおいしいな。
「2人とも。これから夕飯は作ってあげても良いけど、朝と昼ぐらいは自分でなんとかしなさいよ!」
夕食後、古賀さんが金城さんと藤原さんに対して言う。
「わかってるって。いくらなんでも、そこまでお世話になる気はないから」
「…面倒だけど仕方がない」
「あの…、俺はどうなるんですか?」
「倉式君は、前言った通りよ。あたしの都合が付く時は、ちゃんと作ってあげるわ」
良かった。その方針は変わらないようだ。
「千恵美さん。倉くんに甘くない?」
扱いの差が気に入らないのか、金城さんが文句を言い始める。
「あのね…、親子ぐらいの歳の差なんだから甘いのは当たり前よ。あたしがここを退去するまでは、倉式君の管理人業をしっかりサポートするつもりだから」
退去か…。まだまだ先だけど、その時は絶対来ちゃうんだよな…。
「倉式君。明日の予定決めてる?」
食器洗い後、部屋に戻った時に古賀さんに訊かれる。
「いえ、ありませんよ」
雑草抜きの続きぐらいしか思い付かない…。
「じゃあさ、あたしの買い物に付き合ってよ!」
「買い物…ですか?」
「うん。4人で食事することを考えると、食材を多めに準備しておきたいのよね。それに、1人〇個までの商品も買いたいから」
「わかりました。喜んで同行します!」
4人分の食材は重くなるだろう。荷物持ちは俺担当だな。
「それじゃ、千恵美さん。これから夕飯はよろしく~」
金城さんはそう言って立ち上がり、管理人室の部屋を後にした。
「私もよろしく…」
藤原さんも続いて出て行った。
「あの2人、夕飯は毎日作ってもらう気なのね…」
ため息交じりで言う古賀さん。
「2人の気持ちはよくわかります。古賀さんの料理、おいしいですから」
ほぼ毎食用意してもらえる俺は幸せ者だ!
「お世辞でも嬉しいわ。ありがとう」
「お世辞じゃないですよ。本心です!」
「相手に素直な気持ちを伝えることって、意外に難しいものよ。これからもそのままでいてね」
「はい!」
せっかく褒めてもらえたんだ。長所は伸ばさないと!
「倉式君。明日の朝食なんだけど…」
困った様子を見せる古賀さん。
「それがどうかしましたか?」
何か問題があるのかな?
「あたしが作りたい時間にここに来るのは、無理なのよね…」
「え? どうしてですか?」
「だってここのカギを持っているのは、君と美雪さんだけよ。寝る前に施錠されたら、あたし入れないから…」
言われてみればそうだな。これを何とかするには…。
「古賀さん。俺のカギを持って部屋に戻って下さい。今日はもう、外に出る予定はありませんし」
部屋内にいれば、いつでも施錠できる。出かけないなら持ってなくて良いよな。
「…わかったわ。大切に預からせてもらうから」
古賀さんは俺が手渡したカギを受け取った。
「それじゃ、あたしも部屋に戻るわね。…お休みなさい」
「お休みなさい」
夜の挨拶を済ませてから、古賀さんは部屋を出て行った。
全員が部屋に戻った後、俺は風呂にのんびりつかる。
今日1日で、いろんなことが起こり過ぎだろ…。
朝から古賀さんと金城さんが酒に酔っていて、それに付き合う羽目になった。
その後藤原さんの部屋に行き、肩車しながらカーテンを変えた。
それから雑草抜き中にピンクのパンツを見つけ、昨日と同様4人で夕食をとることになったんだ…。
…疲れがどっと押し寄せる感じがする。風呂から出たら、すぐベッドにダイブだ。
そして有言実行して間もなく、俺はあっという間に眠りについたのだった…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます