浮遊霊の事情
「あ、なんだ。ごめん無理」
「ちょちょちょ、なんでよ!? もう憑りついちゃったんだよ!?」
「だって僕、お
「いーのっ、それで!」
「どういうこと? お祓いに連れて行って欲しいってこと?」
女の子はぶんぶんと首を横に
「そんなことしても
「えぇ~? 悪い幽霊じゃないと思ったんだけどなぁ……って、すごく嬉しそうな顔してる!」
「うんうん。やっぱり君は素晴らしいね! いいかい? 君は知らないと思うけど、なかなか成仏することが
「貢献ポイント?」
にんまりした顔で大きくうんと
「そ、貢献。つまりそのポイントは、物事や社会のために役立つようなことをすると
「へー! いいねそれ! ボランティアってやつ?」
「そ、ボランティア。本当だったらそんなことをしなくてもいいのだけどね、うちは与えられた生命を
「生命を全う? どういう意味なのそれ?」
「え? ああうんそうだね、つまりまだ健康に生きられたのに、こんな風になっちゃったってことだよ」
「もったいないってことか。君に生きる価値があったって証拠だよ。なら頑張らないといけないのは仕方ないね」
そうやれやれと言う僕に、女の子は口をぽかんと空けた。
「どうしたの?」
「う、ううん、なんでもないっ。やっぱり君は素晴らしいって思っただけ!」
「変なの。でも
僕は
「まぁそんな顔をしないで聞きなよ。うちはこの場所のことを
「空港? でもなんにもないよ?」
まるでその一言を待っていたかのように、ふふんと女の子は僕のことを鼻で笑った。
「見ていて」
それだけ言うと女の子は指を差す。いや、
すると突然、
「何をしてるの?」
「ん? 今から行くところを探してるの」
「え! まさかこの僕をこのどれかに連れて行く気じゃないよね!?」
「連れて行く。あった、これにしようと思ってたんだ」
慌てる僕をよそに、女の子はニコニコ顔でスクリーンをタップした。
すると、ピンポンパンポ~ンとどこからともなく僕を
「待って! なんで僕たちの世界じゃ駄目なの!?」
「うちもそこで生まれたからだよ。人助けはいいことかもしれないけど、それを
「ほらワープだ」と言って、女の子は僕の手を取った。冷たい。
「って、それは今いい! お母ぁぁさぁぁああーーん!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます