第40話 反逆王と呼ばれる所以
「ひゃああああ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙」
城壁の上から飛び降りる俺。
空気の抵抗を受け、叫び声が掠れる。
俺は、フレアさんを信じている。
「ひゃはははははっ!最高だな、我らの王は。イカれてんぜぇ!!」
「これ、毎度毎度、やる必要あるの?ハーフエルフ、獣人でも魔力なしでやらないわよ?」
なんか、グチグチ言われているが気にしない!テンション上げていこうぜッ!これ、やると、頭のネジがぶっ飛ぶんだわ!
「死ぬぅぅうううう!ひゃああああ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!」
「世話のかかる王様ね...ふふっ」
家の屋根に衝突しそうになった時、身体に風が纏われる。仁王立ちしたまま、屋根を貫通して床に突き刺さる。着地の瞬間、ふわっと、浮き、そっと着地する。
そして、着地した後、身体に纏っていた風が、俺を中心に竜巻を起こし、周囲を塵に変える。
「クレイモラン領の皆さま、初めまして。私は、エタンセル国の王、ナインでございます。そして、さよなら。クレイモラン領の皆さま。領主の伯爵であるホープ、ご息女のクレアを恨んで死んでください。」
ネックレス型の拡声の魔道具を使用し、クレイモラン領の全域に、全ての人間の耳に言葉を届ける。
「エタンセル国が王が命ずる、この街を灰にしろっ!!」
各所から甲高い雄叫びが上がり、魔法や爆弾が領内に打ち込まれる。
フレアさんの風魔法で、俺の周囲の建物や人間が塵になってしまったが、まだ領内には、何十万人という人間、亜人、獣人がいる。
「俺が、何故、反逆王と言われるか教えてやるよ。お代は、テメェらの命だ。」
左手にナイフ、右手に細剣を持ち、足を止めている者たちを斬ってきって斬って斬って切り刻んでいく。
中には、勇気を振り絞って、俺を仕留めようと立ち向かってくるが、魔力なしで純粋の自分の力での死合いなら負けはしない。
「ぉぉおおッ!」
「はぁ、抵抗することなく命を差し出すのであれば、苦痛を与えないのに...なぁ?どうやって死にたい?」
立ち向かって来た青年の喉元に剣を突き刺し、左手のナイフで何度も斬りつける。命の灯火が消えるまで。
「どうして、どうして、俺たちは、戦っているんだ?全て、テメェらが悪い。悪だと決めつけ、我々を断罪した。それは、国主導で教わったから?親に教わったから?教会がそういう教えだから?」
命の灯火が消えた青年の首元から剣を抜き、1振りして、血を払う。
「テメェらは、無意識下で自分より弱者がいることに安心しているだけだ!」
再び、俺は拡声の魔道具を使用する。
「弱者からの反逆の声、音はどうだ?心地良いだろ?もっと、もっと!奏ろっ!もっともっともっともっと激しく、滾らせろ!我らの反逆は、世界を変えるっ!!」
誰よりも弱者であり、誰よりも弱者を尊ぶ。
慕う者には慈悲を、それ以外は悲惨を与える。
だから、エタンセルの皆んなは、俺を反逆の王と呼ぶ。
暴論であり、理解されない。いや、してもらう必要はない。
85名の愛する者だけ、分かって貰えばいいのだから。
「クレイモラン領いる全ての者よ。世界のために、我らのために、残酷に、無惨に死んでくれ。」
「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っ!!いいねぇ、イイねえ!やっぱ王は、私たちの王は、最高だよ!!オラァ、どけぇ。王の通る道は、真っ赤な血で染まっていると相場が決まってんだよ!!」
俺の宣言に触発され、クレイモラン伯爵が居るとされる屋敷まで、セレナによって、血のカーペットが敷かれる。邪魔な建物や攻撃は、全てフレアさんが消滅させる。
俺は、血のカーペットの上を歩き出す。
「待ってろ、首魁ホープ・フォン・クレイモラン。」
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