第34話 大発明


 ニコルさんと話していると、ゲートの設置が完了し、アリエスさんに事情の説明後、旅のメンバーは一旦帰国し、休息をとる。

 俺は、時間節約のため、日本に戻り、休息をとる。異世界から日本、日本から異世界の移動には、時間の経過がほとんどない。日本で、1日休んだとしても、異世界に戻ると数分しか経っていなのだ。逆も然り。

 日本で、だらだら1日過ごし、3日かけて買い出しを行い、再び異世界に戻る。時間にして、1時間も経っていない。この仕組みをもっと効率よく使いたいが、中々、難しい。


 「ただいまー。シェリーさん、荷物が大量にあるから仕分け手伝って?」


 「かしこまりました、我が主。」


 日本で各部隊ごとに仕分けはしてあるが、運ぶのが大変である。ニコルさんと話していた、携帯と小型のゲートが完成したと聞き、仕分け後、技術部隊がいる研究所に向かう。


 「待ってたよー!王様!じゃ、じゃーん!遂に、遂に完成したよー!うひょー。」


 元気いっぱいのサリーちゃん。そのサリーちゃんが持っているのは、折りたたみの携帯。


 「これが、通話を可能にする魔道具?」


 「ふふふっ、それだけじゃないんだなー!なんと、メールも可能なのだー!凄くない?Bluetoothも使用可能だから、耳にイヤホンを付けるだけで通話可能だよー?音楽も聞けるし、王様の世界とほとんど同じスペック!スマホは、まだまだ時間かかるけど、とりあえず折りたたみ携帯。通称ガラケーは、完成なのだ!」


 「おぉぉ!この世界、エタンセルだけにしかない魔道具!凄い、スゴすぎる...」


 いや、まじで天才だろ?既存の携帯を魔道具にかえ、この世界で日本と同じように使えるようにするとかヤバすぎ。

 もう、なにがどうなって、こうなるのか理解が追いつかない。


 「動作確認もしてあるし、皆んなの分を作製済み!」


 技術部隊のアマンダさんとロジェさん以外、デスマーチをした顔だが、達成感に浸っている目をしている。


 「もしかして、最新の小型ゲートも?」


 人差し指を立て、天上に突き刺し、高笑いをするサリーちゃん。


 「あははははははははっ!もちろんだよっ。王様!ゲートの解明が最も重要だからね!ゲートの解明、解析が終わり、先に完成したのが、この小型ゲート。指輪型にして、人一人転送を可能にしたよ!それぞれ異なる魔力周波が流れているから。混線することはないんだよ!!もう、これ開発して完成したときは、泣いたね、私。うん...私たちの努力は無駄ではなかったのだァァァ!」


 抱きつくサリーちゃんを受け止め、背中を何度もさする。その後、詳しい小型ゲートの使い方を聞いた。


 通称、ポータブルゲート。


 従来のゲートとは、原理は同じだが、全くの別の形へと変わった。

 地面や壁に小さな円盤を設置するだけ。後は指輪が魔力周波を合わせて、ここエタンセルのゲートに戻ってこれる。

 これでも、十分過ぎるほどだが、イレーナさんが考えるゲートは、設置したポータブルゲート間を移動出来るようにしたいらしい。それが実現したら、世界中にポータブルゲートを設置して、全員が、世界中どこでも、好きなタイミングで転移することが出来るようになる。

 この仕組みは、出来そうで出来ないようで、魔力周波は指輪1つに対して、ポータブルゲートを1つしか対応出来ないようだ。


 「とりあえず、大発明の技術部隊は、1週間休みを与える。あと、予算を大幅に引き上げると同時にお土産のゲームと漫画、それに小説に雑誌を大量に用意してあるから、疲れをとった後に、ゆっくり楽しんでくれ!」


 俺から出来る最大限の褒美を言い渡し、研究所をあとにする。技術部隊のために、再び日本に戻り、5日間かけて、大量の本とゲームを購入した。発電機も大量購入し、エタンセルに運びこむ。

 今回の発明をエタンセルで大体的に取り上げ、皆んなで祝い、技術部隊の子から要望で何日かかけて夜を一緒に過ごした。

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