第31話 干からびる
「やぁ、皆んなお待たせ!せっかくエマさんが作ってくれたご飯が冷めちゃったね。ごめん。」
「い、いいの!ナインくんが私たちのために怒ってくれて嬉しかったし、愛されていると感じた!それにシチューなら温め直せばいいだけよ!」
エマさんの言葉に皆んなが頷く。それを見て、俺は安堵する。
「そう言ってくれてありがとう。さぁ、温め直して食べよ?」
エマさんがシチューが入った鍋を温め直し、皿に盛り付けてくれる。日本で取り寄せたフランスパンもある。久びさにシチューをお腹いっぱい食した。
「ご馳走様。とっても美味しかったよ、エマさん。また作って欲しいな。」
「ぇ?うそ?本当?作る、つくる!」
興奮のあまり、幼児化してしまうエマさんの頭撫でて落ち着かせる。
「改めて、自然体で接してくれてありがとう。盗賊を勘違いさせ、見事撃退出来た。誰か一人でも不自然な点があれば、油断させることが出来なかった。本当にありがとう。そして、ソフィアさん、ジュシカさん、護衛ありがとう。魔法を無効にしてくれて助かったよ。より大きな契約を結ぶことが出来た。」
「あれくらい当然なの。」
「うん。誰でも出来るの。」
「そ、そう?俺は、魔法に対する防御は苦手だから、助かったよ。」
ソフィアさんとジュシカさんから、じーっと見つめられ戸惑う俺。
「ご褒美欲しいの。」
「夜、お相手して欲しいなの。」
「えぇ?旅の最中だよ?そ、それに...お風呂入っていないし。」
珍しく笑う2人。それに見とれてしまう俺は、どうかと思う。
「それがいいの。」
「汚れは、私たち舐めとるなの。」
あー、これは逃げれない。今日も搾り取られて枯れる。明日は、馬車の中でゆっくり休も...
邪魔されたくないのか、影の中に引きずり込まれる俺。それでは、また明日。おやすみ。
「眠い...」
「ナインさん、私もナインさんのために役に立ちますから、ご褒美ください!」
眠い...
「ねぇ、ナインくん。私も役に立つことを証明するから抱いて?」
寝かせて...
それからというもの、周囲の警戒する範囲が広くなり、むしろ敵が出ないことにイライラする彼女たち。しまいには、何故か魔物に説教しだす有り様。意味分からん。もう静かにしてよ...
馬車の中で2日間、体力回復につとめて、復活した俺。
目をギラつかせながら警戒にあたるエマさんたち。
「ステラちゃん、目のくま凄いよ?ちゃんと寝た?」
「うっ...寝てないです。ごめんなさい...。すやぁ...」
睡眠導入剤を混入させた水をソフィアさんとジュシカさん以外に飲ませ、強制睡眠させる。
「まったく...困った子たちだ。ソフィアさん、ジュシカさん、御者お願い出来る?」
「任せてなの。」
「出来るの。」
相変わらず高スペックで羨ましいよ。それに2人とも美人だから言うことないし。まだまだ、クレイモラン伯爵領まで時間がかかるな。
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