第24話 起爆


 ナインが書類と戦っている頃、アデス村では、地獄が広がっていた。


 ※エリ視点


 「あはははははっ!ざまぁみろ、ニンゲン!きゃはははははっ!おっ、そっちは危ないっすよー?」


 エリが追って苦しめていた人間の近くに爆弾があり、周囲の人間を巻き込み爆発を起こした。


 「ちょっ!威力ありすぎっす。」


 アデス村では、グール、奴隷の反乱、爆弾による爆発が起こっている。

 さすが、王様。ここまで徹底的に村を破壊出来るだろうか?自分には無理っす。爆弾を仕掛け、混乱させることはできるが、グールによる無差別殺人と奴隷の反乱を考えつかない。考えていても、それを実現する胆力にシビれる。


 「あぁぁぁ、王様ー、大好きっ!今日帰ったら抱いてもらいたいっす!」


 悲鳴と爆発音が混じり合う、暴力的な音色にうっとりしてしまう。それは自分だけではないっす。


 「はわぁぁぁぁ、はぁ、はぁ、はぁ、堪らないであります!王様バンザーイッ!あははははっ!バンザーイ!ドカーンっであります!」


 王様に捧げる花火を打ち上げるかのように爆弾を起動していくカーラ。自分の身体を腕で抱きしめて、もじもじしている。絶頂しているのだろう。悶絶している。


 「カーラ、最後のお楽しみがあるっすよ?爆弾はそれぐらいにするッス。アデス二世を殺しにいくっす。」


 カーラの手を掴み、村長宅をお邪魔すると、そこには、アデス二世とその妻6人と子供10人が縄で縛られている姿が見える。


 「待っていたの。あとは、好きするの...」


 ジュシカが待っており、自分たちに獲物を渡してくれた。もちろんお礼を伝える。


 「ありがとう、ジュシカ。今度、自分たちが力を貸すっす!」


 「ありがとうございますであります。爆弾の相談なら私に言うであります!」


 「その時になったら、お願いするの。またね。」


 暗部の影スキル、とても便利っすね...。そんなことよりもお楽しみタイムっす!


 「えーと、カーラ?子供たちには、アレをつけて解放。用があるのは、アデス二世とその女たちだから逃がしてあげて欲しいっす...」


 カーラならやってくれるはず。うん、ちゃんと意味が伝わっているみたい。子供たちを解放していくカーラ。

 子供を逃がしたの見せて、エリとカーラは話せば分かると勘違いさせる。極限状態になると、甘い言葉がどれだけの毒を持っているのか、エリとカーラは知っている。


 「さて、今、子供たちを逃がしたみたいにあなた達も、条件を満たせば逃がしてあげてもいいっすよ。」


 必死になって懇願する女たち。アデス二世は、何故か気を失っている。


 「条件を飲みますから、何卒、何卒、解放して下さい!」


 「分かったであります。この奴隷の首輪付けるであります。無駄に動くなら、足の骨折るであります。」


 淡々と話すカーラ。奴隷の首輪と聞いて、青ざめた顔をする女たち。エリとカーラたちは、まだ幼かったから首輪を着けられていない。でも、あのまま詰所にいたら、首輪を着けられ、男どものおもちゃにされていたことは間違いではない。


 「姉上、首輪をつけたであります。あとは、見学するであります。」


 「カーラ、よくやったであります。それでは、命令するっす。エリを主人とし、決して逆らわず、抵抗することなく全ての命令に従うっす。エリは、あなたたちの命は取らないから安心して欲しいっす。」


 青ざめた顔から生気が宿り、ひとまず安心する女たち。くふふっ。バカな女たち。


 「最初の命令っす。服をぬぐっす!」


 いきなりの命令に動揺している女たち。ただ、命に危険はないため、諦めたように服を脱ぎだす。

 脱ぐのが遅い女の人間には、鞭をふるい急かす。


 「痛い、痛い、やめてっ!」


 「喚くな人間。エリたちは見ていたっすよ?奴隷の女に同じことさせていたっすよね?それと同じことをするだけっす。」


 頭で理解したのか、また青ざめる女たち。それから、様々な命令をだし、1つのアートが完成する。


 「見て見て!カーラ、人間アートの完成っす!」


 おしりの穴に腕が入り、6人の女が円を作るように蹲っている。女性器には、小型爆弾をぶち込んでいる。そして、そのスイッチは、口の中に入れ、吐き出すことを禁じている。


 「姉上、これは中々見事であります!口の中のスイッチを間違って押したら、爆発してしまう。それは決して姉上が殺したことにはならないであります。自業自得であります!」


 「えへへっ。照れるなー。えへへっ。あとは、気絶しているふりをしているアデス二世っすね?気づいているっすよ?」


 ビクッと、身体が震えたアデス二世を見て笑うエリたち。ナイフで脅すと、情けない声を出す。火で熱した鉄を股間に押し当てると発狂する。


 「ふぅー、楽しんだっす。もうコイツに用はないっすね。奪える物は奪ったし、毒で苦しんで死んでもらうっす。」


 「ひっ!や、やめてくれー!十分だろっ!もうやめてくれ!はっ、はっ、ふっ、やめ、やめて、やめてくれぇぇぇえ」


 「あはははっ、グールになる薬直接注入っすー!」


 注射器をアデス二世に刺し、自分たちは村長宅から走って離れる。走っている最中、村長宅が燃えて崩れていく。グールになったアデス二世がアートになった妻たちを襲い、爆弾を起爆させたことは容易に想像がつく。


 「歯応えがなくて、まだモヤモヤするっすけど、今日はこのぐらいにしておくっす。帰ろ、カーラ。」


 「そうでありますね!姉上。ポチッと。」


 カーラが手に持っていた起爆スイッチを押すと10ヵ所から爆発が起きる。これで、村長宅で捕まった者たちは、全て始末完了。あとは、勝手に死んでいく。


 アデス村、復讐完了。

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