第16話 戦いを終え


 ルイズさんによる村長の捕獲が成功したと報告を受け、ゲートをしての護りをしている者たちは歓喜の声が上げる。

 村長を捕獲してからは早かった。続々と吉報が持ち込まれる。結局、村長以外皆殺し。村は火で焼き尽くされ、消滅した。


 「ルイズさん、ソフィアさんにジュシカさん、おかえり!大手柄だよ!!」


 笑顔で暗部部隊を受け入れ、抱きしめる。

 その後、血だらけの村長が運び込まれ、ノーラさんたちの情報部隊によって拷問が行われた。拷問される様子を見て、俺は大いに笑った。ざまぁみろ、クソ野郎。


 戦から戻ってきた彼女たちに一人一人ハグをし、半数をエタンセルにゲートを使って、帰還させる。ハグして思ったのは、皆、身体が暑かったこと。火照っていたのであろう。


 「エマさん、本当にお疲れ様。怪我ない?」 


 照れているエマさん。返り血だと思うけど、血に染まりながらも笑う彼女を見て、美しいと思った。


 「ご安心を。大丈夫ですよ。ふふっ。任務を達成して、ナイン様に褒められると、ふふふふふっ。とっても嬉しいですね。頑張った甲斐があります。」


 「うん、うん。大変よく頑張りました。」


 エマさんの頭を撫でていると、次々に頭を向けるエマさんの部隊の獣人たち。もふもふが堪能出来るから、俺は次々に頭を撫でる。

 一通り頭を撫で終わり、戦利品の回収のため支援部隊が村へいく。もちろん俺も同行する。

 冒険者が使っていたであろう、武器や防具。村長の家にあったこの世界の通貨や、魔道具などを回収していく。


 「結構、貯め込んでいるなー。農作物、そんなに売れたのか?」


 「我が主。村長曰く、この村には税がないとのこと。最果ての地に近いため、そこまで期待されていない村だったようです。それを逆手にとって儲けていたみたいです。」


 「シェリーさん。この村が消滅したら困るのは、周辺の村かな?」


 少し考える素振りをしたシェリーさん。とても頭の回転が早い彼女は、すぐ答えにたどり着いたようで。


 「問題ないと思われます。ここはあくまでも、開拓村のひとつであり、まだ多くの村があります。」


 「そうか...。潰しがいがあるなぁ。くふふふっ。支援部隊をここに集めて、あるもの全て持ち帰らせて。今回、出費が多かったから、金貨を全て溶かして、日本で換金したい。」


 「かしこまりました、我が主。」


 この世界の金貨は、純金ではないが、金の構成が8割。金だけを抽質し、延べ棒へと変えるのだ。闇取引になるが、とても儲かる。地球では、金の採掘がほとんどないため儲かる。

 ひと財産儲けるたび、エタンセルへ投資をしてきた。今回は、エタンセルの国民である、皆に、好きな物を買ってあげたい。


 「シェリーさんは、欲しいものある?」


 「我が主の子種ですね。」


 迷いなく間髪入れずに真顔で返事をするシェリーさん。


 「子種以外で...。そもそも、俺の子種なんて価値あるの?」


 「もちろんです。皆、我が主の子供を産みたい、もしくは愛して欲しいと思っております。」


 知的でクールな秘書のシェリーさんは、未来のエタンセルを思っての発言のはず...。


 「本音は?」


 「ふふっ。愛する殿方と一夜過ごしたいだけです。」


 「やっぱし。俺の体力が持たない。85人だよ?絶対、枯れちゃう。」


 「我が主なら大丈夫です。」


 「無理だろ、あはははっ。まぁこの話しは、置いといて。シェリーさんも欲しいもの考えといてね。」


 支援部隊の仲間たちと、無駄話しながら回収作業をして、荷台に積み込む。荷台に乗せるまで力仕事だが、牽引するのはバイクである。日本様様だね。

 戦利品をエタンセルに運び込み、仕分け作業にうつる。シェリーさんが監督して指示出しを行い、俺は再びゲートを潜り、村の先へ歩いていく。少しでも距離を稼ぎたい。

 次の村へ行くメンバーは、技術部隊の数名と、俺の護衛であるフレアさんだけ。セレナは、置いてきた。少数で移動した方がなにかと楽だからね。技術部隊のゲート撤収が終わり次第、出発だ。

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