第14話 ルイズの増意
「ゲートの守護に、ナイン様率いる支援部隊及びイレーナ率いる技術部隊。ノーラの部隊は、拷問した人間の処理を。それ以外の部隊は、今から支持の通り行動をお願いします。冒険者のクズ共はエマの部隊が駆逐しているはず。ルイズの部隊は、村の長を捕縛。必ず生け捕りにしてください!ミィ率いる特殊部隊は、エマの部隊と合流後、建物に火を放て!木造建築ですのでよく燃えます!建物から出てきた村人は、全て殺して構いません。最後に、私が率いる部隊は、逃げ惑う人間の足を魔法で切り裂いていきます!」
アリエスさんの指示により、全軍、高揚感に包まれる。ようやく、憎きこの世に生きている者たちへの復讐が始まる。
アリエスさんから、俺に視線が集まる。分かっている。士気は最高潮。勢いはそのまま、俺は号令を出す。
「さぁ、私たちの復讐の始まりで初めての戦いだ!我慢、我慢、我慢。もう、いいだろう?我慢しなくても...奴らに私たちの想いを!熱意を!信念を!心に刻んでやれッ!!絶望をくれてやれッ!進軍開始ィィイッ!!」
号令と共に、進軍が始まる。
俺たち、100名も満たない小さな国である。誰も欠けて欲しくない。全員、生きてエタンセルに帰らせてあげたい。そのために、鍛え、成長し、憎意を膨らませてきた。逃げる準備もしてある。別に逃げるのは恥ではない。
俺は、護衛の二人の方を向き命ずる。
「エタンセルが王であるナインが命ずる。セレナ、フレア、私を護る最強の騎士。進軍した部隊の後方にて、イレギュラーに備え、対処せよ。そして、仲間1人残らず連れ戻してこい...」
空気が変わったの察し、片膝をつき、心臓に手を当て、頭を下げるセレナとフレアは、短く返事をし、進軍する部隊を追う。
「良いのですか?アリエスさんに、後で怒られますよ?我が主…」
支援部隊の副官のシェリーさんから指摘されるが、気にしない。怒られる程度で済むなら、みんなの安全を優先する。
「いいさ、別に。シェリーさん、銃の使用を許可する。私を護れ。」
「かしこまりました。我が主。」
「サリーちゃーん!例のブツ、用意出来ているかなー?」
「出来ているけど、王様には絶対乗らせないよー!」
例のブツとは、中型のバイクである。これも、この世界に持ち込み、サリーちゃんと一緒に弄って遊んでいた。
「えぇーっ!いいじゃん!」
「ダメなものはダメーっ!ブーッ、バツ、ダメッ!」
指を交差させてバツを作り、拒否される。
「これは、王命であるっ!」
「そんな、王命は聞けないかなー。王様、バイクでどこいくのー?」
「戦場ダ!」
哀れんでいるのか、はたまた、蔑んでいるのか、視線が痛い。
「はぁ。残念...、ゴホン。冗談はここまでにして、ゲートの設置の進捗の報告をお願い。」
「先程...完了、しま...した...」
代表して、技術部隊の隊長イレーナさんが答える。当然であるが、ゲートの作動チェックも終えている。
「ありがとう。これで無事帰還できるな。技術部隊は、ゲートの守護にあたってくれ。支援部隊は、受け入れ用意を。」
しっかりやる事やって帰ってこいよ。
※ルイズ視点
私は、ナイン様の剣でも盾でもない。
私は、影である。
敵を影から暗殺、毒殺、射殺する狼の女。
「ようやく、あの時の、私の絶望を刻める時が来た。ふふっ。私は、とても執念深い女なの...」
私の部族は、個としてではなく集団行動が求められた。規律、上下関係を叩き込まれ、長のために命を散らす為に教育される。
私は、規律が守れないわけではない。足が遅いのだ。だから集団としての行動が取れない。一人足が遅いと、ペースが崩れる。確かにそうだ。頭では理解している。でも、たくさん、たくさん走って、早く走れように努力した。そんな私を、群れから追い出さすと長が決断した。
「なぜ、なんで、どうして、私を捨てるのですか?」
長は、最後のチャンスをやろうと、私に言ってくれた。
「最後の、、、チャンス...やりますっ!」
「まず、目を布で被せて視力を奪え。次に、脚に重り付けよ。次は、頭から油を垂らせ。ふんっ、人間と獣人と出来た出来損ない。お前言ったな、やるって。もし全身に巡る火を走って消せるのであれば認めてやるっ!もし出来ないようなら、ワシらの余興とし楽しませろ!くっははははは。」
わ、私に染みるのは油?それに火を付けるだとッ!
ふざ、ふぅざっけんなーよッ!何がチャンスだぁ。この声は人間か?人間の声が聞こる!ま、ま、まさか、見世物にするつもりかっ!クソっぉぉお
火が点火しないよう目が見えなくたって走れば...はっ?なぜ気づかなかった?手錠がかけらては、上手く走れない...どうして、どうして、ねえ、ねえ、ねえ。なんでみんな笑っているの!どうして、わたし父さんは罵倒しているの、なに、なに、なぜ、私がこんな目に。
そして、火矢が私の腰に刺さり、いきよいよく火が周り出す。毎日走っていた道なら、足の感覚で覚えている。そっちに走れば何とか...
「がぁっ、な、なんで、こんな所に木が置いてあるの...熱い、熱いいぃ、」
キャハハハハ、ガハハはは
私は目を覆っていた布が火で切れた瞬間、山を降りるルートを瞬時に導きだし、かけ下りるが、重りが重すぎてなかなか進まない。熱い熱い熱い、この先に水が流れているところ...
「な、なんでそこをふさいでいるのぉおおっ!」
「ケラケラケラケラ、火を消すの水の役目。それを塞ぐのは当然だろバーかっ!ギャハハはははっ。ぐはふぁっ!?」
私は、勢いをそのまま、水が流れている場所を防いでいる男に体当たりして共に水に浸かる。
「あーあ、つまんねーなー。そいつの手錠と足枷を外せ。約束は約束だ。しらけた余興をしやがって。もう2度その醜悪な顔と身体見せんじゃねーよ。気持ち悪りぃ。」
絶対生き延びてコロシテヤル。
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