第2話 本当に好きな人
「そっか、付き合うことになったんだ」
「うん」
実家が隣で、物心ついた頃から一緒に過ごしていた彼女。
小学校から大学まで傍にいてくれた彼女。
幼い頃よく遊んで、いろんなことを語り合った思い出の公園で彼と付き合うと報告したとき、彼女は寂しそうに笑った。
「幸せになってね」
「うん、ヒナも早くいい人見つけなよ」
心にも思っていないことを言って、彼女の表情の意味を考えようともしないで、私は仮面を被った。
彼女が誰かと付き合ったら嫉妬するくせに。
本当は私がヒナの全てを独占したかったのに。
けれど、自分の想いを告げる勇気はどこにも存在しない。
これまでヒナは男性と付き合ってきたんだし、私が告白したら「気持ち悪い」って言われるに決まってる。
臆病者の私は、みんなに、自分に嘘をついて、夕日に向かって歩いて行くヒナの後姿を見送った。
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