第26話 子泣きじじい

「お邪魔するよ」

「いらっしゃいませ~」

 金太郎のような服に、蓑を背負った大きな赤ん坊の妖怪がいた。

「ん」

 妖怪は抱っこをせがむように俺に手を伸ばしてきた。

 俺は抱っこをしてやった。

「どんな本をお探しですか?」

 抱っこしながら店を回ると、赤ん坊妖怪がズシンと重くなってきた。

 途中までは我慢していたが、もう我慢が出来なくなってきた。

「あの、下ろしてもいいですか?」

「ん」

 赤ん坊妖怪は素知らぬ顔で本を見ている。

 俺はあまりの重さに身動きが出来なくなった。

「そこまでにしておやり」

 綾さんが来て、俺から赤ん坊妖怪を引き離す。

「はあ、はあ、はあ……」

 俺は息も切れ切れで「あ、ありが、とう、ござい、ます」とお礼を言う。

「こいつは子泣きじじい。あのままだと、レンは死んでいたよ」

 そんな危険な妖怪だったとは。

「それで、何の本をお探しだい?」

「より赤ん坊の気持ちになれるような絵本がいいね」

「赤ちゃん向けの絵本ですね」

「ああ」

 俺は「いないいないばあ」という絵本を渡した。

 色々な動物や人間が「いないいないばあ」をしていく絵本。

 たったそれだけだが、その繰り返しが温かい気持ちにさせてくれる絵本だ。

「さっきはいたずらして、すまなかったね。この本、買っていくよ」

「はい、ありがとうございます」

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