第24話 件
「いらっしゃいませ~」
「こんばんは」
頭が人間、身体が牛の妖怪が来店した。
「件だね」
「くだん?」
「未来を予言する妖怪だよ」
「えっ、予言? すごいじゃないですか!」
「それが良いことばかりじゃないんですよ」
件が溜息を吐きながら言った。
「本の結末が先に分かってしまうんです。推理小説で先に犯人が分かってしまったら興醒めでしょう?」
「確かにそうですね」
「こんな私でも楽しめる本って何かありますかね?」
「だったら先に犯人が分かっているミステリー小説なんてどうでしょう? ……例えば、こちら、ドラマ化もされた大人気のガリレオシリーズの『容疑者Xの献身』がおススメです」
「どんな話なんですか?」
「天才数学者でありながら不遇な日々を送っていた高校教師の石神さんがいまして、彼が思いを寄せている隣人が暴力をふるう元夫を殺してしまいます。二人を救うために、石神さんは完全犯罪を企てます。石神さんと同期であり、親友である物理学者のガリレオ・湯川学がその謎に挑むことになります」
「確かに、先に殺人の犯人が分かってるなら私でも楽しめますね! ガリレオ先生、買っていきます!」
「ありがとうございました!」
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