第12話 本の仕入れ

今日は七緒さんと一緒に神田の古本市に来ている。

 本の仕入れのためだ。

 神保町靖国通りの歩道に「本の回廊」が出現し、人々で賑わっている。


「あ、その本は、もううちにあるよ」

「七緒さん、本の在庫全て覚えてるんですか⁉」

「え? 覚えてるよ」

「すごいですね!」

「レン君が来てからは並び順も徐々に分かりやすくなってるし、在庫確認には便利だよ」

「役に立ってるなら良かったです」


「武者小路実篤『友情』とか、どうですか?」

「いいね。化け蛙オトさんが買いそうな本だよね」

「っぽいですね」

 オトさんは文豪の本をよく買っていく。


「あっ、これは自分用に買ってもいいですか?」

 俺は自分の財布を出して言う。

「いいよ~」

 俺は澁澤龍彦の『幻想博物誌』という本を買った。「スフィンクス」や「ゴルゴン」など空想上の生物を説明した本だ。


 仕入れも自分の買い物も出来たし、充実した一日だった。

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