第33話 黒い運命
18時、夕食を告げるアナウンスが入った。
和樹たちは204号室を出た。エレベーターが忽然と姿を消していたから、和樹は腰を抜かしそうになった。壁の中に収納されてしまったようだ。
「エレベーターを探さないと食事にありつけないよ」と、林檎。
「階段で行くしかないか?」
和樹はさっき降りた階段を探したが、階段も忽然と姿を消していた。
和樹たちは回廊を散策した。そして、赤い色をしたドアを開けた。ドアを開けるとエレベータールームになっていた。
エレベーターで1階に降りて、食堂に向かった。
「忍者屋敷みたくって面白いね?」
「うん」
それにしても、貫一郎の母親が吉良史帆だったとは意外だ。夕食は静岡おでんだった。
静岡おでんは、牛すじ、黒はんぺん、練り物、大根、卵など具材を全て串に刺し、色の黒いだし汁で煮込み、青のりや魚のだし粉をかけて食べる静岡市の郷土料理。 市内では、駄菓子屋でも売っているため、おやつがわりに子どもの頃から慣れ親しんでいる人が多い。
夕食後は風呂に入った。
バスルームには光ファイバーが設置されていて、お風呂に入ると体がライトアップされる。
脱衣所で思わぬ人物と遭遇した。中学時代に和樹を散々いじめた同級生、
まるで透明人間であるかのように無視されたり、髪を切られて裸の動画まで撮られたり地獄の青春だった。銃を部屋に置いてきたのを悔やんだ。
死神が玲司と引き合わせたのだと、確信した。
銃で撃ち殺すなんてのは生温い。ナイフで黒ひげ危機一発みたく、アチコチを刺して血だるまにして殺したい。
部屋に戻るまで、『幻想将門伝』で遊んだ。男子トイレの近くに
波小僧は、遠江国(静岡県西部)一帯に伝わる妖怪。遠州七不思議の一つに数えられる。浪小僧と表記される場合もある(読みは同じ)。
遠州七不思議における波小僧の伝承は以下のようなものである。
奈良時代の僧・行基が年老いた母の快癒を祈願して2体の藁人形を作り、田植えをさせた。行基は田植えを終えた藁人形に読経を聞かせた後、風雨の災害が起きる時は必ず事前に人々へ知らせるよう言い聞かせて久留女木川(都田川の旧称)へ流した。藁人形のうち1体は海へ流れ着き、漁師が仕掛けておいた網に引っかかる。海から引き上げられた波小僧は漁師に命乞いをし、助けてくれれば波の音で天気を知らせると約束する。漁師は波小僧を網から解放し、波小僧は海の向こうへ姿を消した。こうして遠州灘の波の音は「雷三里、波千里」と呼ばれる地鳴りに似た独特の響きを持つようになり、漁師たちは波の響きが南東から聞こえれば雨、逆に南西から聞こえれば晴れと知ることが出来るようになった。
また、浜松市中区曳馬には別の伝承が残されている。
少年が田植えをしていると、親指大の波小僧が顔を出した。波小僧は大雨の日に海から陸に上がって遊んでいたが日照り続きで海へ帰れなくなったと言い、気の毒に思った少年は波小僧を海へ帰してやる。その後も日照りのため不作が続き、少年が途方に暮れて海辺に立っていると波小僧が現れる。波小僧は少年に恩返しをすると言い、雨乞いの名人である父親に頼んで雨を降らせると約束する。そして、波の響きが南東から聞こえれば雨が降る合図だと言い残して海の向こうへ帰って行き、それから間もなく南東から波が響いて雨が降り田畑が潤った。それ以後、農民は波小僧の知らせで事前に天気を知ることが出来るようになった。
この波小僧は将門のレベルが高ければ高いほど、凶暴になる。普通は逆だ。和樹の将門はレベル4だったので、メチャクチャ強かった。津波で襲撃したり、桔梗の前の蘇生を封印したり苦戦した。
『猛虎』や『朧車』の協力もあり、倒すことが出来たが、HPが50にまで下がっていた。これ以上戦うのは危険だ。
👹織田和樹 ラスボスまで58匹
部屋に戻り、林檎と一緒にお笑いを見た。
21時近くなると和樹はホルスターを装着すると、ジュニア・コルトをしまった。
林檎はベッドで寝息を立てながら眠っている。彼女を危険な目に遭わせるわけにはいかない。音を立てないように部屋を出た。どこがどう変わるのか、しっかりと目に焼きつけておきたかった。
ホテル内を散策した。さきほどの大浴場が忽然と姿を消していた。部屋自体がまるでテトリスみたいに移動するのだ。なっ、何と!先ほどの食堂の場所に大浴場が移動していた。
尿意を催し、トイレに向かったら榎本と鉢合わせした。和樹はホルスターからジュニア・コルトを抜き、「死ねェッ!」と叫んだ。榎本が金縛りに遭ったみたいに動かなくなった。
和樹の人差し指がくの字に曲がった。バンッ!!
榎本のパジャマに真っ赤な薔薇が咲いた。
榎本は撃った相手が誰だか気づかずに冥界に旅立った。
和樹2点、虫丸1点、史帆2点。
翌朝は8時に起きて林檎と朝食を食べた。
食堂の場所が変わっていたので林檎は驚いていた。
生しらす、 黒はんぺん、 たたみいわし、 天日干し、桜えび、 鯵の開き、法林寺の浜納豆など静岡の郷土料理が勢揃いだ。
食後、貫一郎の部屋に行った。
貫一郎は経済ニュースを見ていた。
「オッサンみたいだな?」
和樹は苦笑した。
「今の世の中は簡単に落ちぶれる。今のうちから勉強しておかないと」
「立派な考えだ。ところで、おふくろさんはいつくるんだ?」
「10時過ぎになるらしいよ」
それまで館内で『幻想将門伝』で遊ぶことにした。
雷獣は、落雷とともに現れるといわれる日本の妖怪。東日本を中心とする日本各地に伝説が残されており、江戸時代の随筆や近代の民俗資料にも名が多く見られる。一説には『平家物語』において源頼政に退治された妖怪・鵺は実際のところ雷獣であるともいわれる。
静岡県富士宮市に伝わる話は、その昔、どんどん焼きをしていると毎年のように、白鳥山から白坊主が「ほーい、ほーい」と呼ぶため、気味悪くなってこの行事をとりやめたという。白鳥山の南にある大鏡山からも白坊主が現れ、この白坊主を見た者には災難が訪れるともいわれる。
戦国時代のこの地には狼煙台があり、どんどん焼きは狼煙と見誤るために制限または禁止されたという説もあることから、白坊主とはこの狼煙台の守備兵を指しているとの解釈もある。
寛保時代の雑書『諸国里人談』には、静岡県の大井川で夜間に大勢で魚を捕らえていたとされる木の葉天狗の目撃談があり、それによれば近世で知られる鼻の高い山伏姿の天狗とは異なり、大きな鳥のような姿で、翼はトビに似ており翼長が6尺(約1.8メートル)ほどあり、人の気配を感じるとたちまち逃げ去ってしまったという。人に似た顔と手足を持ち、くちばし、翼、尾羽を備えているとの説もある。
松浦静山の随筆『甲子夜話』巻七十三の6項には、静山の下僕・源左衛門が7歳の頃に天狗にさらわれたとされる天狗界での体験談が述べられており、その中に木の葉天狗の名がある。それによれば、天狗界では木の葉天狗は白狼とも呼ばれており、老いた狼が天狗になったものとされ、山で作った薪を売ったり登山者の荷物を背負ったりして、他の天狗たちが物を買うための資金を稼いでおり、天狗の中でもその地位はかなり低いという。
👹和樹 ラスボスまで48匹
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