第27話 悲劇は続く

 和泉がフランケンシュタインを倒してくれたので残り1人を倒せば💀を手にすることが出来る。

 山県は愛する婚約者の敵を討つべく、次のステージである102号室に入った。

 ドラキュラが待ち構えていた。

 山県は設計士だが、設計士ってのは建築士のサポートをする。亡くなった和泉は建築士、謂わば女王と従者の関係だ。

 山県は平将頼たいらのまさよりを選択した。平良将の子で平将門の弟。「御厨三郎」と称す。『尊卑分脈』では四男、『相馬系図』では長子の将持がない為に三男である。子に将兼があるとされる。

 将門が「新皇」を僭称して関東を席巻すると下野守に任ぜられるが、天慶3年(940年)2月、将門が平貞盛・藤原秀郷らとの戦いによって敗死すると勢力は一気に瓦解し、後日将頼も相模国にて討たれた。


『将門記』によると、将門の弟達のなかではこの将頼だけが「朝臣」の称号を持っているため、国衙において何かしらの官位を持っていたと思われるが詳細は不明。


 対するドラキュラこと吉江はまたもや、平国香を選んだ。

 2人の侍は鬼怒川をバックに対峙していた。

 ステージは相撲の土俵のように段差で仕切られており、ステージから転落するとリングアウト負けとなる。

 山県の瞳は充血していた。ケンカもよくしたが、和泉は山県には勿体ない過ぎる女だ。

『高校時代は君が尽くしてくれた、これからは僕が尽くす番だ』

 高校卒業後、道に迷っているとき和泉が手を差し伸べてくれた。

 ドラキュラはメチャクチャ強かった。

 山県は将頼の必殺技、将狗拳しょうくけん(A🔵、A🔵、A🔵Y🟢↑)を繰り出した。その場で拳の連打を繰り出し、一発でも当たるとそのまま連打を続けて浮かし上げ、とどめにアッパーカットで殴り飛ばす。気力の消費量が激しい技だが、クリーンヒットさせればダメージは大きい。

 対するドラキュラは🔴B、🔴B、🔵A、🟢Yとボタンを押した。国香の姿が見えなくなった。透明になる国透波こくとうはを使ったのだ。

「クソッ、どこにいるんだ!?」

 山県は躍起になった。

 透明になった、国香に将狗拳は通用せず、さらにドラキュラは🟢Yボタンを5回押して、稲妻を繰り出した。

 正面から上段に斬りこんでくる良将の肘(手首・右手の甲)へ斬りつけ、ひるんだところを斬り倒す技。初伝の勢中刀と異なるのは、敵が倒れるかうずくまるかしたのを想定し、地に膝をつけた折り敷く姿勢で斬る。

 将頼は体をなますみたく切り刻まれ1敗した。

「アンタ、どことなく長州力に似てるから強いと思ったんだけど、期待外れだな?」

 ドラキュラは鼻で笑った。

 山県は和泉の死に様を思い出し、身震いした。自分もああなるのかと思ったら、怖くて怖くて仕方がない。

「ちょっと、トイレに行ってもいいか?」

「何だよ? 逃げんのか?」

「そんなんじゃねーよ! 我慢すりゃいいんだろ!?」

 山県は頭に血が昇った。

「ムキになんなよ」  

「なってねーよ!」

 

 ラウンド2は山県の方が優勢だった。将狗拳はあまり効果がなかったので、将雷殲しょうらいせん(🟢Y🔵A🔴B)を繰り出した。

 将雷殲とは長巻での攻撃だ。長巻とは日本刀の一種で、大太刀おおだちを振るいやすくするために、1mくらいの長い柄を付けた物。活用する上では薙刀なぎなたに近い武器。 つばの部分が武器全体の中央に位置する。

 🟢Yで長巻を振り回し、🔵Aで敵を斬りつけ、🔴Bで暗雲から稲妻が落ちてくる。

 将雷殲をまともに食らった国香はHPが1000から500に減った。

 今度はうまくいったと、高を括っていると小虫が目に入った。視界が狂ったことにより、山県はステージから転落してリングアウト負けとなった。

「弱過ぎて話しになんねーや、ケッ」

 102号室の天井は吊り天井になっていた。

 吊り天井は、吊り木や吊り金具で天井板を吊っている天井である。日本家屋の他、体育館やホール、トンネルなどでも採用されているが、施工は簡素に留めている・引っ掛けているだけなど揺れに対して強度がある状態ではなかったため、地震、特に東日本大震災で天井が崩落し、被害が多かった。この事から学校などで対策が講じられている。また笹子トンネル天井板落下事故以降、トンネルの天井施工についても問題が指摘されている。

 天井を吊り上げておき、標的が部屋内にいる時に天井を落とし、標的を押し潰して殺害する装置も吊り天井と呼ばれる。江戸時代、幕府の重臣・本多正純が吊り天井を仕掛け将軍徳川秀忠の謀殺を企てたとされる宇都宮城釣天井事件がある。

 山県は吊り天井の下敷きになり、胸や腹部を押されると肺が押されて呼吸が出来ななり、失神し、さらに脳に酸素が行かなくなって死亡した。


 武田はモニターを見ながら発狂しそうになった。バンッ!という音とともに山県は下敷きになった。僅かに開いた隙間から赤黒い血が川のように溢れ出た。

 和泉に続いて山県までもが犠牲になってしまった。武田は欲に目が眩んた自分を責めてた。謎の招待状にはゲームに勝ったらグアム旅行券プレゼントと書かれてあった。就職してから旅行らしい旅行は行っていない。勝てばタダで海外に行ける。山県は『何か怪しくないか?』と疑っていたが、武田が『おまえは心配性過ぎるんだよ』と鼻で笑ったら、『まっ、やるだけやってみるのもありかもな?』と折れてくれた。あのとき、忠告を受け入れていれば和泉も山県も死なずに済んだのに……。

 

 その頃、三好勇は松山市にある三好組の事務所にいた。『太陽にほえろ!』のDVDを見ていた。松田優作演じるジーパン刑事が麻薬中毒者に撃たれて、『なんじゃこりゃ〜!?』と叫びながら血を吐き出し、地面に倒れた。三好は龍造寺勇夫を殺した日のことを思い出した。あれは去年の夏、正確には2018年8月18日だ。去年は『そだねー』(ロコ・ソラーレ〈平昌オリンピックカーリング女子日本代表〉)が新語・流行語大賞の年間大賞を受賞した。

 去年の漢字は『災』……北海道胆振東部地震や大阪府北部地震、西日本豪雨、北陸豪雪、さらに記録的猛暑や大型台風といった『災害』の脅威が各地を襲ったことなどを受けて選出。

 なお、『災』は2004年以来14年ぶり2回目の選出となった。

 あの日はメチャクチャ暑く、やたらヤモリを見かけた。  

 勇夫は龍造寺組の拠点を浦島市から遠く離れた、松山市に移した。

 居酒屋に入る勇夫を偶然見かけたので、三好は居酒屋の近くで張り込んだ。三好は『幻想将門伝』をやりながら時間を潰した。裏ワザがあると新人ヤクザの遊佐瑠輝也ゆさるきやから教わった、以前はサッカー選手をしていたらしい。

『夜雀を30匹殺すと中ボスに負けても何度でも戦えるようになるらしいですよ』

 三好は『将門伝サドンデス』に参加していたが優勝することはなかった。再びやりはじめ、第1章のラスボスは平良正たいらのよしまさと戦ったが完敗した。

宇喜多うきた造船所』で良正と戦った。2年前は景気がよく星も5つだったので、苦戦したがタンクの爆発事故があって以来、評判はガタ落ち。それでも、星は4つだった。居酒屋の周辺には夜雀はおらず、代わりにのっぺら坊が現れた。メチャクチャ弱かった。

 ベロンベロンになった勇夫が現れた。子分を何人か従えていた。子分と曲がり角で分かれて、勇夫はトボトボと歩いた。勇夫はガード下にやって来た。以前は屋台や靴みがきなどが出ていたが、潰れてしまったようだ。誰もいないのをいいことに、勇夫は立ちションをはじめた。

「あ〜酔った酔った」

 どこかで花火の音が聞こえた。三好は勇夫の背後に迫った。

「あの〜もしもし? こんなところで立ちションしてると警察に捕まりますよ?」

 勇夫が振り向いたところをドスで、奴の腹を一突きにした。勇夫は呆気なく死に、龍造寺組は潰えた。

 

 あのとき、ケツの青かった瑠輝也も少しはヤクザらしくなった。あの頃は枝っていう意味も知らなかった。枝は暴力団の2次団体を指す。その瑠輝也が会社に姿を見せなくなった。会社は組事務所のことだ。それだけじゃなく、ケータイも通じなくなった。

「遊佐の奴、ビビってフケたんじゃねぇすか?」

 中堅ヤクザがケータイのオセロをやりながら言った。だが、予想外れた。遊佐は警察のS(スパイ)に成り果てていた。

 

 武田がサードステージである103号室に入った。この部屋にはからくり弓矢が仕掛けられてある。壁に般若の面が仕掛けられてあり、武田の負けが決まった瞬間に、般若の口の部分から弓矢が発射する。何としてでもドラキュラを倒さないといけない!

 と、そのときドンッ!って音が聞こえた。

 SATがライフルから非殺傷弾を発射させて、ドアを破壊し奇神館内に突入し、武田たちを救出。林檎も救出隊の中にいて、銃を発砲しようとした新発田を撃ち殺した。

 

 

 

 

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