第5話 跡目争い

 14日 (月)

 ジャニーズ事務所、1月に解散報道のあったアイドルグループ・SMAPについて、実際に本年12月31日を以て解散することを正式に公表。

 

 父、澄夫の跡目を継ぎ、関東五大ファミリーのドンたちの暗殺によって裏社会での強力な権力を得た龍造寺勇夫りゅうぞうじいさおは、浦島市に本拠を移していた。勇夫は周囲からは伊原剛志いはらつよしに似ていると言われている。

 邸宅は『イエローライオン』というサッカーチーム『浦島イエローズ』のオフィシャルショップの近くにある。

 息子、右近うこんの10歳の誕生日を祝う盛大なパーティーが開かれており、組織の古参幹部、三好邦夫みよしくにお亡き後に、彼の浦島市の縄張りを継承した三好勇みよしいさむも来ている。勇はどことなく内野聖陽うちのせいように似ている。

 勇は浦島市の縄張りを巡って同じく邦夫からその一部を譲り受けたと主張する二階堂博之にかいどうひろゆきと対立しており、その解決を勇夫に頼む。二階堂は江口洋介似だ。意識してるのか、「よう!」と真似をしたりする。

 しかし、二階堂の後見には澄夫の盟友であった残間大輔ざんまだいすけがおり、事を荒立てたくない勇夫は我慢するように言う。残間はどことなく大杉漣おおすぎれんに似ている。


 その晩、勇夫は恋人の篠原千絵しのはらちえと共に自宅の寝室で就寝中のところを、窓の外から激しい銃撃を受ける。千絵は華原朋美かはらともみに似てる。


 犯人の正体はわからないが、身近な者が関わっていること、また浦島の件と関係があると見た勇夫は、本拠を高校時代からの友人で組織の弁護士である板東ばんどうに任せ、真壁町にいる残間の邸宅に赴く。板東はどことなく、『龍が如く』などのヤクザ映画で有名な北村一輝に似ている。

 町域の東部地域は、水郷筑波国定公園の一角をなす筑波山・加波山などの筑波山塊の西斜面が覆い、中央部に桜川が南流する桜川低地、西部は常陸台地のひとつである真壁台地が広がる。加波山一帯は真壁石とよばれる花崗岩の産地で、日本有数の石材業の町となっている。また、桜川低地は水田地帯、真壁台地上は畑作に利用される。

 町内に伝正寺、最勝王寺、薬王院などの寺院があり、南部の筑波山では気温の逆転現象を利用した観光ミカン農園がある。


 勇夫は父の代から続くファミリーと残間との長年の協力関係を強調した上で、自分を襲撃させた犯人は三好勇だと告げ、彼を粛清することで合意する。

 次にその足で西浦島に赴いた勇夫は三好勇と会見し、事件の黒幕は残間だとわかっていると告げた上で、彼を油断させるために二階堂と会談して欲しいと依頼する。勇夫の希望に従い、三好勇は二階堂との会談場所に赴くが、二階堂に裏切られてガロットで首を絞められる。ガロットは椅子に座らせた死刑囚の首を鉄の輪で絞めて後ろを捻ることで首を絞める絞首刑の一種である。また、拷問道具としても使用される。 スペインの公式な死刑執行法として1978年に憲法改正により死刑制度が廃止されるまで使用されていた。また、スペインの植民地でも行われていた。フィリピンではスペインの植民地からアメリカの植民地に変わった後も1926年に電気椅子が導入されるまで使用されていた。

 二階堂は意外なことを口にした。

「『幻想将門伝』を知ってるか?」

「グゥッ! 何だこんなときに!?」と、勇。

「平良正をどうやったら倒せるんだ!?」

「ゲームの話なんかしてる場合か!?」

「俺はあのゲームに命を賭けてる!」

火槍かそうを手に入れるといい」

 火槍とは、宋の子窠が考案し、実際に戦闘で使用されたごく初期の火薬兵器。

 使用した王朝や構造の若干の違いによって突火槍、梨花槍、火門槍、槍砲などと名称が変わる事がある。また現代の中国でライフル銃以前の銃、特にマスケット銃のことを言う場合もあり、その時は前者は火矛槍などと言い換えることもある。現在でも中国では銃の事を『槍』と表記する。


 構造は火薬を紙で包んだ物ないし節を除いた竹に火薬を詰めた物を長い柄の先に取り付け、それに火を付けて敵に突き出して炸裂させたり火花を浴びせることによって攻撃や威嚇を行うという兵器。また、似た兵器にロケット花火の要領で矢を飛ばす火箭という物もあったが、それも火槍と呼ぶ事もある。


 初めは火薬は不純物が多く混じった黒色火薬であり、爆発力が貧弱だったために火薬のみによる攻撃は望めず、主として威嚇のために用いられた。爆発音は三百メートル先でも聞こえたといわれ、威嚇には十分な効果があった。攻撃用とするにはこの火薬の中に金属片を混ぜることによって殺傷能力を高めて使用した。しかし、基本的に竹製のため使い捨てが主で、そうでない物も装填にかなりの時間がかかり使い勝手は悪い。その上に初期の火薬は不純物が多く含まれていたため不発、或いは遅発等の暴発が多く、構造上射程が短く命中精度も非常に低かったため、後の火縄銃のように隊列を組んでの一斉射撃や狙撃による散兵戦を行えることは期待できず、南宋ももっぱら攻城戦での防衛のための兵器として北方から侵入してくる金やモンゴルの兵士に対して使用するのみに留まった。金もこれとよく似た飛火槍と呼ばれる兵器を使用しだした。精度の低さや不発を克服する為に、後世のカチューシャ式ロケット砲の様に多段式に改良された火車と呼ばれるものも存在したという。

 

「そうなのか……教えてくれてありがとう」

 争いの音を聞いて現場に駆けつけた警察によって三好は助かるが、自分は勇夫に裏切られたと捉える。


 23日 (水)

 勇夫は残間の誕生日パーティーが開かれる大分県別府市へ向かい、多くの者たちと共に残間と会見する。その頃、大分県では反大分ゲリラによる紛争が起きており、マフィア達は反大分ゲリラが勝ち、利権が失われることを危惧していた。遅れて友人、刃来輝やいばらいきが別府市へと到着し、勇夫は来輝に自分を殺そうとしているのは残間で、間もなく暗殺することを伝える。勇夫は来輝が窪塚洋介くぼつかようすけに似ていると思った。『池袋ウエストゲートパーク』のキング役はカッコよかった。

 勇夫と残間は改めて会見し、勇夫は三好を襲撃したのは誰か問い詰めるが、残間は動じることもなく、逆に自身が目をかけていたパイソンをリボルバー拳銃で撃ち殺し、その利権を奪い去った勇夫を非難する。また、勇夫は来輝の失言によって、彼が残間の内通者だったと知り、激怒する。

 

 勇夫は手下に残間とその側近、鰐崎剴わにざきがいの暗殺を命じ、残間はヒ素で毒殺されるが、鰐崎は暗殺の手を逃れる。鰐崎はケンドーコバヤシにどことなく似ている。死んだ残間も『将門伝サドンデス』に参加していた。

 

 また、勇夫は来輝に裏切りに気づいたことを告げる。さらに8月27日の飲み会の最中、政府高官が反政府ゲリラが政府軍に勝利したことを出席者達に知らせ、一転して場はパニックに陥る。勇夫も他の多くの客と同様に別府市から離脱しようとするが、同行することを拒否した来輝は1人で逃走する。

 浦島市の邸宅に戻ってきた勇夫は板東から報告を受け、残間は別府市を脱して真壁町で静養中であること、来輝はおそらくプエルトリコに潜伏していることを伝える。さらに千絵が流産したことを教えられ、勇夫はショックを受ける。


 残間の差し金により、会議で組織犯罪に対する特別委員会が開かれることとなり、表向きは実業家となっている勇夫が告発される。委員会側では勇夫に裏切られたと勘違いし、組織の内幕をよく知る三好が告発の証人になろうとしていた。勇夫は公聴会にて五大ファミリー暗殺などの厳しい質疑を受け窮地に立たされるも、板東と相談し、弱みを握る市川京子いちかわきょうこ議員の反対演説などで巻き返していく。京子はどことなく小泉今日子こいずみきょうこに似ている。


 30日 (水)

 この日、平成28年台風第10号が岩手県大船渡市付近に上陸。1951年(昭和26年)に気象庁が統計を取り始めて以来初めて東北地方の太平洋側に上陸した台風となった。

 

 二階堂は『西浦島図書館』にて火槍を手に入れた。

 この日の夕方、二階堂は鴉沼からすぬまに浮いている鰐崎と来輝の死体を見つけた。この2人も『将門伝サドンデス』に参加していたようだ。

 鰐崎は源扶を倒したばかりで、来輝はゲームをスタートしたばかりだった。

 

 

 

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