第464話 魔法がとける時


前にグレイが魔法少女縛りをやってたが、本物の魔法少女はやっぱり違う。


『キノコ系はぁ、数が居るからなるべく1体ずつ釣ったほうがいいかも?魔法系だと近寄られたらアウトっぽいね!出来れば範囲攻撃でキノコゲットしちゃおー!ハイ、キラッキラッキラッとハートアタック~』


「にゃぁ」


ハートがキノコぶち抜いていく絵面よ。


「キュー」


キャラに忠実なだけで普通に強いね。とヤクシも実力は認めたようだ。


『やったぁ!エノキとシメジとエリンギだよー!あとはマイタケも欲しいんだけど、どこかなぁ?キノコ鍋の具材ちゃんたち~出ておいで~!』


コメントに椎茸は?とか椎茸忘れるなとか、何故か椎茸推しが大量発生してる。


『居たー!私にメロメロロックオン!シューティングハート!』


ステッキでハートを描いてマイタケモンスターにウインク一発。するとマイタケモンスターにハートマークが浮かび上がり、ステッキを両手で握ってマイタケモンスターに向けると、超高速ハートがマイタケモンスターをぶち抜いた。


今のは狩人でいうロックオンとシューティングアローなんだろうが……


「うにゃにゃ」


魔法少女の仕様上あんな感じにやらないと威力出ないの大変だな。


一応ステッキを振るだけで初期技は使えるけど、それ以降は魔法少女になりきらないと威力がクソなのだ。


『えへへ!鍋の具材もゲットしたから今日はボス倒して終わるね!』


またしても長くしたステッキで山を飛んで山頂まで移動した魔法少女。ボスは巨大な鶏だった。


『あ、あの鶏中ボスはちゃんとホームページに載ってるから予習バッチリだよー!あれはたぶん芸術の秋の音楽担当ボスみたい!まだドロップで楽器は出てないみたいだけど、音攻撃してくるんだよ!』


……それ普通に鳴いただけでは?デカイから攻撃になってるだけなのでは?


『フフッ、魔法少女ミラクルは巨大鶏なんかに負けない!ボスエリアにゴー!そして皆からの応援を力に変えて!撃つよ!魔法少女ミラクル、愛のハートバズーカ!』


ボスエリアに降り立った魔法少女は素早くステッキを短杖状態にして、両手で握りしめたステッキを頭上にあげて「撃つよ!」と叫んだ。


本当に応援を力に変えてるかは不明だが、頭上のステッキに魔力で出来たハートが作られ、どんどん大きくなった。


そして「愛のハートバズーカ!」でそのハートが鶏へと放たれたのだ。


ハートが当たった鶏は何故か爆発。その爆発の前に鶏に背中を向け、カメラのほうを向いて目を閉じてる魔法少女。


いや、目を閉じた魔法少女の後ろで派手に爆発した鶏……というべきか?


そして、カッ!と目を開いてポーズを決める魔法少女。


『ミラクル起こしちゃった☆』


「キュー?」


何処でミラクル起きたの?と不思議そうなヤクシである。


魔法少女はドロップの魔石を回収して、宝箱から出てきた魔法少女フィギュア(ミラクル本人)を見て虚無顔を披露したあとダンジョン入り口に戻った。


『よしよし!怪我なく戻ってこれたねぇ!皆もちゃぁんと気を付けるんだよ~!さてさてここでダンジョン配信は終わりだけど~……ミラクル配信のお約束!やっちゃうよ~!』


コメントにスンッという人々が多数出てきたんだが?


不思議に思った次の瞬間、魔法少女の変身が解除された。


『お前ら、現実見れたかよ?』


普通に茶髪で服も黒ジャージで、メイクもされてないので中性的ではあるが男性だと見てわかる奴が現れた。


コメントには悲鳴や呻き声が溢れている。


『毎回やるんだから毎回見なきゃ良いのに……んじゃ、次の配信またお知らせ出しとくんで、さいなら~』


どうやら恒例なやつらしい。毎回変身解くところまで配信にのせてるのにこれだけ人気だなんて、魔法少女…奥が深すぎでは?

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