第450話 それぞれの試験対策


専業探索者の悲しい現実は心の奥にしまいこみ、とりあえず小学生見学の話しは完全に僕らの学校から手が離れたということで良いようだ。


「見学の話が無くなったんなら、当初の予定通り僕らは通学して試験対策するってことで良いんだよね?」


「おう、残ってる授業は高等学校の基礎履修部分だけで、ぶっちゃけ社会に出ても使わないけどやっとけって所だけだからな」


専門的な分野に進まなければ化学式とか微分積分とか使わないもんね。


「この学校、ダンジョン庁希望組やギルド職員希望組もまとめて授業受けさせて、その他必要部分は自分で勉強するか自分で教師に聞きに行けって方針なのどうかしてるよな」


……たぶん、安田君のは褒め言葉じゃないほうの「どうかしてる」だった。


「まぁ疑問は自分から聞きに行かないと困ることになる就職先でござるからな、学生のうちから癖をつけておくためでござろう」


自分からガンガン行かないと忙しすぎて放置されるとか説明は受けてるらしいけど、追加で勉強する分の量と難しさに、安田君的にはダンジョン庁学科作れと思ったらしい。


「ダンジョン庁組は法律関係もあるもんねぇ」


「小ダンジョンガチャと魔苔魔石のおかげで知力アップスキルとか脳内辞書スキルとか手に入ったから良いけど、先生に知的タンクって珍しいなとか笑われたんだが?」


うん、まぁ、タンクなら防御力上げが最適解だもんね、知力上げはしないよね。


「拙者も小ダンジョンガチャはやったでござる!散々でござったが、ミロク作キーホルダーを手に入れてから知力アップスキルが手に入ったのでござる!」


「てかお前ら小ダンジョンをガチャ扱いしてんの?」


確かに、スキルガチャではあるし物欲センサーに対応してくれる優しめガチャだけど探すの面倒だよね?攻略しないとスキルガチャ出来ないけど、攻略したら消えるんだもん、出現情報は出てると言っても次の小ダンジョン見つけるの大変では?


「魔苔の魔石も手に入るしスキルも手に入るんだから探してでも行くだろ、小ダンジョンはスキル構成がガチガチで整ってるやつ以外に人気なんだぞ?」


スキル構成がガチガチなのは専業探索者で活動出来てる人達だけだよね?今さら新しいスキル育てるの面倒って人達だよね?


「三井氏は探索者関連以外には疎いでござるな?知力アップ系は学生がこぞって求める必須スキルでござるぞ?」


「それはズルではぁ?良いのかそれ?」


「ズルでも何でも使えれば良いらしい」


「即物的な理由!」


「勉強だけ出来るやつよりズルしても臨機応変に動けるやつが欲しいでござる、ズルとは言ってもちゃんと覚えてはいるから勉強も出来て臨機応変に動けるやつになるだけでござる」


ダンジョン庁組とギルド職員組の人達が意外とヤバかった。もしかして専業探索者組が一番楽をしているのでは?


「三井君、僕らも小ダンジョンガチャ行っとく?」


「ガチャっとくかぁ……」


知力アップ系スキルを手に入れて勉強するのと並行してダンジョンに行ってレベル上げもしよう。試験対策中といっても勉強だけするのは違うし、だったらダンジョン探索のほうを頑張らないと!

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