第449話 僕らが進路を決めた理由


グレイのこれからの性格とかについて悩んだけど、答えは出なかった。そのうち操作が簡単なRPGもしてもらおう。



そして放課後、特に先生達に何か報告を受けた訳じゃなさそうなのに、どうなったのか三井君が教えてくれた。


「学校見学についてだけどさ、ギルドから回答として『ちゃんとした専業探索者を増やす目的ならギルドとダンジョン庁でそれようのPVを作りますから学校は見学を拒否していただいて大丈夫です』って言われたらしいぜ!」


「妥当」


「ござる」


「滲み出る高村さん……」


僕が言ったら野田君と安田君に、言うなというように首を横に振られた。


「孫が可愛いお偉いさんがどんなお話されるのかはおいといて、PVは動画で探索者用の方と普通の動画サイトで見れるようにするらしいぜ!」



………あれ?探索者が増えるようなPVって高村さん主導で作るのかな?


「カッコよく戦ってる姿だけでは無さそうだな」


「絶対に現実見せてくるでござる」


「………最近ギルドにドール型カメラというものが導入されててね?叔父さんにもついてたりするんだけど」


「あぁ、深層とか行くなら配信して情報出せって副ギルド長が強せぃ……お願いして持たせてるアレだろ?」


副ギルド長というか、高村さんのお願いは殆ど強制に近いから大丈夫だよ。


「高村さんのことだから、上澄みとか中堅とか3年目とか中級成り立てとかの戦闘映像出して、テロップとかでそれぞれの経歴とか支出と収入比較とか載せそうだよね」


「あー……ついでに専門学校と通常校のカリキュラム比較とか?」


「通常校出で専業になったやつの末路とか……」


「じ、地獄の映像が出来上がるでござるぅ……」


「さすがに考えすぎかなぁ?やりそうではあるけど、専業探索者を目指す人が居なくなると困るもんね」


「まぁ一定数社会に適応出来ない層も居るから人数は問題無いんじゃね?」


僕がそれだね。普通に就職とか無理だし、だってそういうのって人付き合いがセットでついてくるでしょ?


ほら、僕も嫌だけど神木の血筋だからしたくないことはしないタイプなんだよね。やりたいことだけやるタイプじゃないだけマシな方だし、常識持ち合わせてるから人に迷惑かけるようなことはしないけど。


「俺もなぁ!我が強くて駄目だと思ったことはハッキリ言っちゃうから社会に働きに出るとか無理だと思ったんだよね!」


「俺は中学で冷静に淡々と物事を進められるのがダンジョン庁向きだと言われた」


「拙者、幼き頃より忍者に憧れて斥候として活動する予定でござったが、1年時にギルド職員目指すことをおすすめされたでござる」


「なんか皆がこの学校に入った理由を話す流れになってる?あ、僕は会社とかの人付き合いが無理だからです」


……こうやって聞いてると、専業探索者してる人達って性格とか社交性とかで社会に馴染めないと思った人が多いのかもしれない。


いや、きっと純粋に探索者がカッコいいから専業になったって人もいるはず、居るに違いない、お願いだから居て。専業探索者の殆どが社会不適合者の集まりとか悲しい現実見たくないよ。

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