第446話 猫ファースト飼い主です
「………という話があったんだよ」
家に帰ってから、ちょっと遅かった理由を訊ねられて放課後の話し合いについて説明したんだ。
話の途中で呆れたような顔になってるミロクって、表情豊かだよねぇ。
「にぃ」
小学生は無い。ってミロクにさえ解ることを言い出した偉い人の今後が気に……ならないかも?
僕の人生に関わって来なければいいや。
「キュキュー」
探索者になるって夢に対して探索者学校の見学させるって斜め下過ぎるよ。ってヤクシの言葉に、僕も含めて「それな!」ってなった。
そこは普通にギルド見学とか、探索者インタビューとかが案としては正解だと思うんだ。
「にゃ?」
高村にチクるんだろ?って、チクるって言い方は悪いなぁ。相談するって言おうね?
「何にしても僕は関わり無いからいいんだけどね」
ほら、一応パーティーメンバーだから今日は呼ばれただけで、最初の案でも僕は関わり無いから。
「それよりさぁ、グレイがやってるの恋愛シュミレーションゲームだよね?」
そう、帰ってきたら珍しくグレイがテレビに繋いでゲームしてる。お話しながら進めるの見てたけど、たぶん恋愛シュミレーションゲーム。
学園物で勉強したり部活したりバイトしたりしてるんだけど、ちょこちょこと種類の違うイケメンが出てくる。
なんで男の好感度上げてるの?
「うにゃ」
『ときめき乙女道!』という恋愛シュミレーションゲームらしい。エロゲーじゃない恋愛シュミレーションゲームと言えばコレとミロクがおすすめしてくる。
猫のミロクがおすすめ?
「マスター、おかしいぞ?選択肢がことごとく外れるんだが?」
「にゃ」
分析力と対応力と予測力が低い。ってグレイに感情系は難しいのでは?
いや、その訓練のためのゲームなのかな?
「おい!?お前断るの2度目だぞ!?いつならいいんだ!いつなら!」
「うにゃ」
1週間後の休みに急に誘うのが悪いだろ。ってやったことがあるの?ミロクが?
いや、ゲームが家に存在してるんだから買ってはあったんだよね?
「マスター!何を選べばいいんだ!コイツは何が好きなんだ!」
「にゃー」
お助けキャラに聞けよ。ってのはその通りなんだけど、助けてあげよう?むしろグレイには攻略本があってもいいような気がするよ?
「何でだ!お前本が好きだと言ってただろうが!栞のプレゼントの何が悪い!」
「いやグレイ!?虫イラストの栞は確実に違うと思うよ!?」
「罠かっ!」
いや、そのキャラの子って虫が嫌いで外に出たくないとかお助けキャラの情報に出てたよね?そこで虫イラストの栞は無いよ。
罠じゃなくて解りやすい地雷だったよ?ちょっと見ただけの僕でもわかる地雷だったよ?
「うにゃ」
集めた情報の解析と分析して結果を予測するところに感情が入ると、グレイのなかの感情の統計が少なくて失敗するらしい。
なるほど……弱点を無くす特訓方法が身近にあって良かったねぇ。
さっきも読書家のプレゼントに栞ってのは良かったけど、虫が嫌いって情報がそこに結び付かなくて栞で良いだろってなったんだね。
「凄くグレイにあった訓練だってのはわかったよ」
「うにゃ」
あと見てると面白い。
「キュー」
一喜一憂面白ー。
うん、うちの猫とフェアリードラゴンは愉悦の民って奴らしいから仕方ないね。ミロクの動画のコメント欄でなんか言われてた。
愉悦民とか楽しいに全振りとか解っててもやっちゃう勢とか、よくわからないけど、よくなさそうなこと言われてたね。
でも僕は猫が幸せならそれで良い飼い主なので、グレイはしばらく頑張ってくれるといいなって思うよ。
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