第445話 見学会の運命は副ギルド長の手に委ねられた


「そもそもの話!小学生が高校の見学来てどうするんすか!」


「いや、探索者についての現実とかを早いうちから教えとけって意見もダンジョン庁からあってだなぁ……普通の高校出て専業探索者になるとか言う馬鹿も少なくないんだ」


うわぁ……無いわぁ……


一昔前ならともかく、今時専門学校に入らず専業探索者とか無理だよ。初級ダンジョンでスライム倒して免許取得できる義務免許とは違って、専業なら中級免許ないと儲からない。


むしろ専業でやってる人達からすると、中級取って3年くらいは初級扱いされるくらいだよ。ほら就職とかでも新卒から3年で1人前みたいな扱いなんでしょ?それ。


普通の高校だと大学進学とかがメインだし、その合間にレベル上げと中級免許の勉強なんて……無理とは言わないけど出来たらそれだけで超人だよね。


うちの高校、必須部分以外の数学って税金関係の勉強するし。中級免許試験にも税金関係の問題出るし。


「それはそいつの自業自得じゃないっすか!」


「拙者、それならまだ話の通じる中学生に職業説明会したほうがよいと判断するでござる」


「素直に現役探索者にインタビューしてその映像を見せとけ……と俺は思います」


小学生といっても何年生が来るのかなぁ?小さい子達だと夢が壊れるのでは?


だって小さい子達の強い探索者になりたいって、将来ヒーローになる!みたいな奴と同じでしょ?


そこに何時間走って、何千回剣振って、受け身の練習して、アイテムの知識とか、様々な職業の知識とか、地道な部分のほうが多い内容を話したとして、がっかりするのでは?


「あのー、その話って、各所の卒業生に話を回せないんですか?卒業して現役で頑張ってる人達に、この学校で学んで役にたったとか…そういう話をしてもらったほうがいいと思いますけど?あと探索者なら指名依頼にしちゃえば1人は確保できるわけだし」


「神木!それだ!そうだよな!こんな話は各所を巻き込むに限るよな!うちの学校だけに負担が来るほうがおかしいって話だな!」


うわぁ先生嬉しそー。


「はい、依頼を出せば高村さんの目に付くでしょうしアホなことするなって、この話自体がなくなる可能性もありますから」


「「「「天才か…!」」」」


なんか職員室の先生達に拍手されてしまった。何気に三井君たちもやってるし。



……高村さんの仕事を増やしたような、増えるのを阻止しようとしてるような、そんな気分だったけど、ようやく家に帰れる雰囲気になったね。


クッキーもお茶も無くなったし、帰りたかったんだよねぇ。

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