第435話 11階 開いた研究室
あらゆる部屋をひっくり返し、鬱憤を晴らすようにモンスターを殴り、廊下の端まで行ったら普通に次の階層への階段を発見してウニャァァッ!となり、初志貫徹とばかりに鍵をゲットして戻ってきた。
そう!12階に行くのに鉱石研究室を開ける必要は無かったのだ!とんだ無駄足!
ギルドホームページに鉱石研究室についての情報がないと思った!皆諦めたんだ!
「うにゃ!」
だが俺達は諦めなかった!
「ここまで来たら意地だよな」
「キュー!」
ロボじゃなかったら壊そうね!とヤクシは言うが、たぶんロボではない。だって鉱石の研究室だもの。
『ここ開けたらーお家帰るのがー良いと思うのよー』
マリモちゃんの提案に、ちょっと考える。
部屋をひっくり返してたので時間は掛かってる。朝から来てもう昼過ぎな気配がするのだ。
つまり帰る時間を考えると進みが微妙になるのだ。
これが不人気ダンジョン……と改めて納得ではあるが、探索を始めてしまったので仕方ないのだ。
「にゃー」
そうだな、今日はここで終わりにして明日は走り抜けて12階やろう。
ということになった。
さて、いよいよ鉱石研究室を開ける。鍵を差し込み、回せばカチャリと解錠音が鳴った。
「にゃ!」
いざ鎌倉!
ドアをスライドさせると……
「キュー!」
ドールじゃないか!とヤクシが魔法を発動した。
わかってはいたけど金属製ドールだった。部屋の中央にコードが繋がれた金属製ドールが居て、その周りに研究者ドールが記録を取りながらわちゃわちゃやってる部屋だった。
勿論鉱石がゴロゴロ転がってたし、何かの研究途中っぽい液体に入れられた鉱石なんかもあった。
ヤクシが魔法を撃つ一瞬で部屋の中の確認が出来た俺って凄いと思う。
パシュッ
「キュ?」
あれ?とヤクシが首を傾げたが、俺も同じく今起きたことの理解が出来なかった。
「ヤクシ先輩の魔法が消えたな」
『あらー?』
か、鑑定さぁーん!
「うにゃにゃ!」
魔力を吸収する鉱石をコーティングしたドール、まじぇまじぇしてたら偶然の発見、レアモンスター!
……まじぇまじぇってなんだ!
『なるほどー』
と言いつつ先端を尖らせた蔦を操り金属製ドールを刺しに行ってるマリモちゃん。
「あれ?マリモちゃん先輩の蔦って魔法で作ってる訳じゃないから……」
『あーダメだねー触れた瞬間強化がとけるー強化無しだと金属は貫け無いなーというわけだからーグレイがんばー』
「キュー」
他のドールはやっとくねグレイがんばー。とヤクシは研究者ドールを処理して、あとは観戦のスタンスだ。
「うにゃ」
がんばー。
俺は魔法系猫だから、グレイに頑張ってもらうしか無いんだ、頑張れ!
「いや、マリモちゃん先輩が大きくなればいいのでは………はい、特殊なモンスターとの戦闘経験は稀少な体験ですね、やります」
ハンマーがあるんだから頑張りなさい。マリモちゃんは気が付いているが面倒だからやらないのだ。
因みに、俺やヤクシも大きくなればたぶん物理で倒せると思う。
ただ、ヤクシはロボじゃなかったのでテンションが下がったしやらない。俺は観戦しながら他の鉱石とか鑑定しとくんでパスなのだ。
マスター猫と先輩のドラゴンズに任されたグレイは、普通にハンマーを振り回して金属製ドールを破壊した。
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