第431話 ミロクのやらかし
「初手虫はダメだと思います!」
切実な叫びをあげながら、僕は小型犬サイズの蜘蛛や芋虫を倒していく。
「なんか凄くわいてるがシルクドロップのモンスターはレアなんだぞ!」
レア!嘘だ!だって蜘蛛は普通に10匹以上いるもん!芋虫だって5……なんか木の枝にいっぱいいるぅぅぅ!
「にゃー」
ごめーん俺がやった。ってミロクが軽く謝ってるけど今はそれどころじゃない!
カサカサワサワサしてるんだよ!何処からか見えないくらい細い糸がとんできてて、少しずつ動きが鈍くなってるんだよ!
森タイプのダンジョンだから火魔法を遠慮してるけど、本音を言えばすぐにでも燃やしたい!
「キュー」
何したの。って余裕そうなヤクシが木の枝にいる芋虫を水球で撃ち落としながら聞いてる。
「にゃにゃぁ」
レアモンスター寄せの香水が出来たから使ってみた。
「なんだって!?ミロク!そういうの使うなら皆に言わないとダメでしょ!」
「にゃ」
ごめんなさい。って今前足揃えて額を付ける必要無いから!蜘蛛来てる!来てるから!
「マスター!謝る前に倒せ!マスターが倒せば全部ドロップするんだから責任持って倒せ!」
初級モンスターだから弱い、弱いんだけど数が多くて全方向から攻撃してくるし、蜘蛛にいたっては体に登ってくるので、ほんっっっとうに気持ち悪い。
「にゃ」
はい。と言ってからのミロクは速かった。
残像を残す勢いですべての蜘蛛と芋虫を倒してしまったのだ。
「ミロク……とりあえず香水の効果を消すために洗浄してね」
また来たら嫌だし。
ミロクはしょんぼりした顔で自分に洗浄をかけた。
『今回はー勝手をしたマスターが悪いのよーでも颯人様は虫に慌てすぎなのー』
「それはわかってるけど、生理的嫌悪感は消えないから。むしろもっとモンスターっぽかったら平気なのに無駄に地上の蜘蛛に寄せてるから余計無理」
逆に初級モンスターがダメ。地球の生き物に寄せてるから虫が虫過ぎて無理。もっとモンスターな見た目してくれていいのにねぇ。
「にゃにゃぁ」
今度からちゃんと言う。と反省したようなので撫でて、もう怒ってないことを伝えた。
「結局一番得をしたのは俺だな!」
凄いホックホク顔のグレイが本当に嬉しそうだったんだけど……
「シルクの服を着るような場面無いよね」
「………」
黙ってしまった。
「えーと、確か普通のモンスターが綿のTシャツに使うような生地をドロップするんだよね?」
「マスター!普通のモンスター寄せは無いのか!?」
「にゃ」
無い。
「普通モンスターを集めたらそれはもうトレイン行為になっちゃうからダメです」
無くて良かった!レアモンスターがアレだけ集まるようなモンスター寄せなんて普通モンスターに使ったら集まり過ぎて異常事態だってギルドに連絡されちゃうよ!
その後、僕たちは地道にモンスターを倒して布素材を沢山集めた。
因みに後で動画を見た高村さんにレアモンスター寄せ香水は没収&製造禁止を言い渡されました。
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