第402話 お手入れの時間
「うにゃぁん」
次のダンジョンは季節ダンジョンに決まった。
夕飯後のまったり時間にご主人に報告しておいた。サプライズなど1回で良いのだ。ホウレンソウ大事。
「へぇ、確かに山登りとかミロクたちに関係無いもんねぇ」
肉球に俺特製の保湿クリーム塗りながら、ご主人も納得のようだ。
うむ、もう十分クリーム浸透したのでは?いつまでくるくるもにゅもにゅしてるんだ?地味にくすぐったいのだが?
「にゃ」
しつこい。
「あぁ、ごめんごめん。ぷにぷにで止められなくなってた」
そう言って、今度は耳掃除用のシートを取り出してきた。
に、逃げたいが必要だってわかってもいるので逃げない。でも逃げたい。
「うぅぅぅぅっ」
「唸らないでよー、嫌いなのはわかるけどさぁ」
サッとやってくれ、サッと!優しくするのはいいけどコショコショしちゃダメだぞ!気持ち悪いし、細かく動かされると耳の中でガサガサうるさいからな!
「耳毛も取っちゃうね」
「にぎゃ!」
うひぃっ!
ご主人は俺が動かないのをいいことに、耳毛を鋏で切るのだ。鋏が毛を切断するシャキッとかジョキッとかいう音がダイレクトに耳に響く!恐怖でしかない!腰の辺りがそわっとする。
因みに、洗浄魔法で耳の中も綺麗なはずなのにご主人はお手入れだからと定期的にやる。
「よし、お尻の毛は……切っておこうか」
なんてこった!バリカンだ!
俺ってば見事な長毛なので、ご主人はお尻まわりだけは毛を切るのだ。トイレのあと付いてたら嫌だから仕方ない。
まぁ見た目はおかしくないので、本当にお尻まわりだけ切ってる。
ただ、バリカンなのだ。あの毛を切っちゃうバリカンがデリケートな部分にくる恐怖!何気に先っぽのギザギザが刺さる!
「ミロク?固まってる?何でお尻の時だけそんな固まってるの?」
「にゃ」
動いたら切れちゃう。
「いや、身が切れないようにしてるから」
「うにゃ」
いいから早く終って。
「モンスターの爪とかの方がよっぽど鋭いのに……はい、終わり」
終わりと言ってもすぐに動いてはいけないのだ。何故なら毛が付いてるから!
今まではコロコロの出番だったが、俺の毛が素材として使えるとわかってから、ご主人は卓上ホウキとミニチリトリで俺の毛を集めている。
ある程度集めたら今度はブラッシングなのだが、もう毛が抜ける抜ける。
まぁ、夏も終わりだからな。冬支度をせねばならんのだ。因みに今回の抜け毛は等身大ミロク人形に使った。
自分の人形が高値で売れるのは微妙な気持ちになるのだが、かの餡パン男は自分の顔を分けているのだから、これくらいやらねばスーパーネッコの名が廃るってもんだ。
ただし、ヒーローと違って俺は猫なので、金を取ります。
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