第395話 三本の矢パーティー配信


ヤクシが見つけてしまったライブ配信。


そこには段ボール箱の上に見覚えのある猫の人形を置き、拝んでる3人の兄ちゃん達が居た。


『お猫さまぁ!お猫さまぁ!』


『どうか俺達に少しだけ運をお与えくだせぇ!』


『せめて!せめて魔石以外のアイテムをください!ゴブリンパーティーのドロップアイテムとか要らんけどアイテム出るまで帰れない企画!』


画面にはゴブリンパーティー10組目と表示されていた。


『何故最初から拝ませてくれないんだ!出るわけ無いだろ!俺達だぞ!?』


『自慢じゃないが出ないんだぞ!レベルだけ無駄に高いのはそれだけ倒さないとドロップアイテムが出ないからなんだぞ!』


『俺、これが終わったらギルドの無人販売でお野菜買うんだ!』


『『やめろ!?フラグ立てんな!』』


拝み終えたら、騒ぎながらも危なげなくゴブリンパーティーを殲滅していく3人。


「うにゃぁ?」


こいつらに何のユニークも付いてないのおかしくない?


画面ごしでもユニークスキルの有無くらいはわかるので、こんな面白いパーティーをダンジョンさんが見逃していたことに驚いた。


『不幸系のーユニークスキルはー可哀想なのでーやめときましたーって気がするのよー』


珍しく一緒に配信を見ていたマリモちゃんが言った。


確かに可哀想だけど、不幸系以外のユニークスキルという選択肢は……無かったんだな。


「キュー」


これがカロリーバーパーティーかぁ。とヤクシは感心しているが、こいつらのパーティー名は三本の矢パーティーだと書いてある。


『さっすが!お猫さまパワー!』


『拝んで直ぐにドロップアイテムが出るなんて流石過ぎる!』


『例え腰布だろうと!魔石以外のドロップアイテム!これで帰れる!』


ゴブリンの腰布でこれだけ喜べる奴等もそう居ないと思う。


コメントも平日昼間なのに結構居る。しかも専業で探索者してる奴等っぽい。


こんな出ないのも珍しいとか、新人じゃないけど期待の新人とか、ドロップアイテムでガチャとか…と思ってたがお前らなら充分ガチャとか、おおむね好意的。


他にもドロップしないことに同情するコメントや、新たな高村の犠牲者とか察しちゃったコメント等もあった。


因みに、猫人形はラック値アップ効果付きの錬金術アイテムです、と注意書がされていた。


……あの人形、確かにラック値アップ効果付いてるけど、拝んで使う物だったかな?


普通に出来のいい人形を作ることしか考えてなかったから効果は気にして無かったんだよなぁ。


俺の毛とか使ってるからラック値アップ効果はあるはずだけど、拝んでも効果あるのは初耳だ。


『はぁぁっ、ようやく地獄のゴブリンパーティー連戦が終わりました』


『ドロップアイテムであればいいということで、お猫さまパワーによって無事に腰布が出ました!』


『腰布って魔石より買い取り安いからソシャゲガチャで言うところのレア度Aの産廃武器みたいなやつだよな、流石俺達』


『それレア度Bがガチャの最低レア度で魔石って仮定してだよな?』


『そうそう、通常ドロップアイテムがレア度Aの扱い、レアドロップがS』


『設定ガバ過ぎるだろレア度Aに使うやつとゴミが存在してるじゃねぇか』


なんか、仲良いなぁコイツら。


「キュー!」


お気に入り登録とチャンネル登録しよっ!とヤクシは三本の矢パーティーチャンネルに登録した。


確かにご主人に聞いてたよりも面白かったので、今後も気にしておくとしよう。

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