第393話 カロリーバーパーティー


「どうしたんだ?急に集まれとか?」


「引っ越しの為に断捨離中なんだが?」


身内がいないってところでつるむようになって、全員ラック値が低いせいでろくなパーティーに入れなくて、流れで固定パーティー組んできた俺達。


地方の何処にでも居そうなラック値低い以外は特に目立つ所もない3人パーティー。そんなパーティーで歳上(誕生月違い)だからとリーダーを任されてしまった俺は、他の2人を呼び出した。


まぁ同じ安アパートに住んでるから来るのに5分もかからないんだけどな。


「恐怖のメールが届いた」


「同じ内容のメールを他のやつに送れとか?」


「それ不幸のメールじゃなかった?」


今、ボケに反応してる余裕は俺にはねぇんだ!


「メアド教えてないのに本部の副ギルド長である高村さんからメールきた」


「「ヒェッ!?」」


やっぱそうなるよな!俺も届いた瞬間ヒェッってなったわ!


「あの飼い主さんから俺達のことを聞いたみたいで、今高村さんは探索者のダンジョン内配信を推奨してるらしくて、高村さんの配信事務所に所属するなら格安で寮を借りられるとか提案のメールだった」


「……ギルドじゃなくて副ギルド長が推奨してんの?」


「私はって書いてあるから、たぶん高村さんなんだろうな」


「お前、それ本当に本人からのメールか?詐欺じゃねぇの?」


それは俺も疑った!疑ったけど飼い主さんから聞いたとか書いてあるし、なによりさぁ……


「メールに動画が添付されててなぁ」


高村さんが寮の部屋の紹介してる動画だったんだよなぁ。何故か人が住んでる形跡がある部屋だったんだけど、住人は居なかった。


部屋の印象は高村さんな感じじゃなかったし、ギルドの規則教本やら道徳の教科書やらが大量に置かれてたのでギルドのスタッフか誰かの部屋だと思われる。


人が住んでる部屋で間取りを紹介するのは流石にどうかと思うんだが?


「……動画の情報量多くない?」


「これはフェイクにしても酷い、フェイクじゃなかったなら尚酷い」


「な?恐怖のメールだろ?」


共有したかった!このワケわからん恐怖感を共有したかった!


「んで、どうする?」


「なんか勘みたいなものが警鐘をならしてるんだが?」


「目をつけられたんだ、逃げられない」


「同意見だ!」


どっちにって?どっちもだよ!


やばーい気はするけど逃げられない気もしてる!


「そもそも俺にメール送ってきてる時点で色々把握されてると思う」


「「それな!」」


というわけで、長いものには巻かれて流されようの精神で事務所に所属して寮に入ることが決まった。


「……これ、返信でいいと思うか?」


メールに返信していいのか?とか思ってたら……ピロンとメール着信音。



「……来週の日曜日に引っ越し手伝いに上級の神木さんを寄越すってメールがきた」


俺の発言で2人は恐慌状態になった。もちろん俺も怖すぎて無理!


「いやぁぁっ!見てるのっ!?」


「ヒィィッ!何処!何処から見てるの!」


「アバババババッ!」



……待って?引っ越しの手伝いに上級の神木さんが来るの?え?守護者が引っ越し手伝うの?え?そんなことさせちゃ駄目じゃない?


「アバァァー!」



日曜日、やって来た神木さんは凄く同情するような感じで俺達を見て、収納鞄に荷物を入れて新幹線で一緒に移動して、寮に荷物を置いた後、真剣な顔で「頑張れよっ」と応援の言葉を発してから……一番端の部屋に入って行った。



あれ?まさか間取り紹介の部屋って……


後で確認したら地上に居る日数が少ないのでマンションとかは無駄になるし、近場に置いた方が管理しやすいので寮を提供しました。と遠回しな回答をされた。

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