第389話 ギルド、アイテム狂乱前日


戦々恐々とギルドの執務室でミロク君を待っています。ダンジョンから帰ってきた翌日も待っていましたが、颯人君の帰宅日なので来ないだろうなと思ってはいました。


ライブ映像を見ながら、やっぱり来なさそうと安心してましたが……颯人君が帰宅して、お互いの報告会をしてましたので、今日あたり来そうです。


本音を言うとギルドに売りに来るのやめて欲しいんですが、来ちゃうなら颯人君も一緒の方が私の精神的な安定のために良いです。


初アイテムの登録はそこまで面倒でも無いんですが、今回ミロク君の持ってくるアイテムは人体に作用する系のアイテムが多数あったので、鑑定結果以外の安全性の確認というやつが必要になってくるんです。


特にお薬関係ですね。


あのダンジョンからよく出てくる化粧品関係は様々な会社で分析研究されてるので安全性は確認されてますが、初アイテムの方はねぇ?


最初は特区ではないダンジョン庁の薬品研究所で分析して、分析結果と一緒にサンプルを提携している各製薬会社に提供して、更なる分析、現在の技術又は調薬スキルによる再現が出来るか等調べるのです。


その申請書類をアイテム1つに対して1枚用意して、ギルドとダンジョン庁で承認して、研究所に送るという面倒な作業になります。


しかも今回はお薬だけではないので、とりあえず錬金術系の研究所にも送らないといけません。錬金術系じゃなければそこから鍛冶や細工系の研究所に回されていきますけど……大抵のアイテムはとりあえず錬金術に回しとけばなんとかなります。


複合アイテムなんてそうそう出てこないので。


まぁそういう諸々の手間が出てくるようなアイテムばかりだったので、遠慮したいんですよねぇ。


昨日、先に送信されてきた鑑定書はミロク君達には必要無いアイテムとか出しても大丈夫と判断したアイテムなんでしょうけど、送信された鑑定書を確認したスタッフが騒いで他のスタッフもざわめいてましたよ。


「こ、これがこれから来るんですか!?」


と、半泣きで私に確認してきました。アイテムのヤバさはミロク君達よりしっかり認識しているスタッフ一同、パニック寸前でした。


「もっとヤバいのはさすがに内緒が良いんじゃないかと思ったらしいですけど、あなた方も一緒に確認しますか?」


と、笑顔で言ったらドン引きされました。私が持ってくるんじゃないのに、失礼な。


「道連れを増やそうとしないでください!」


「どうせ書類確認やら申請やらで君たちも見るんですよ」


「「「ぐ、ぐぉぉぉっ!」」」


という感じで、頭抱えて呻いてました。まぁ他人事じゃないくらい今は嫌な予感がしてますけど。


はぁ……ミロク君、アイテム忘れて遊びに来るだけにしてくれませんかねぇ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る