第386話 40階 福引き前に試練


スライムの謎については闇の中に放り投げ、40階へとやって来た。なかなか早く40階まで来たので、頑張れば50階まで行けるのでは?と期待している。


「ところで、引換券が9枚ってキリが悪いよな?」


「にゃ」


言うな。


フラグが立ったらどうするんだ!


それが怖くて扉前のお題が見れてないんだぞ!?


「あ、大丈夫っぽい。3枚で1回福引きできるらしい。ただし、福引きをするためには部屋の中で出されるお題にクリアしなければならない。とは書いてある」


成る程?やっぱり福引き前に何かしらあるんだな。


というわけで、さっさと突入したんだがモンスターの姿はない。モンスターの姿は無いが、変な小道具がいっぱい置いてある。


小さな机の上に置いてあるお題カードを手に取ってグレイが読んだ。


「ここにある物を使って、1人1回可愛いと思うポーズをとれ」


「うにゃ!」


ここにきて可愛いを要求すんな!


しかも置いてある小道具って大工道具とかヘルメットやロープ、クワやホウキ等のホームセンターとかで置いてそうなラインナップだ。


「キュー?」


僕が要るだけで何でも可愛いけど?と自信しかないヤクシは置いといて、1人1回ということはグレイが可愛いと思えるようなポーズを考えなければならない!


サイズ変更がある俺達は小さくなってりゃ可愛いから何でもいい。問題なのはグレイだけだ。


これならまだ物ボケを要求されたほうが簡単だったかもしれない。


くっ、どうすれば高身長イケメンが可愛くなるのか……俺にはわからない!


「うにゃ?」


とりあえず小さくなれば可愛いのか?


「小さいから可愛いというわけではないだろう」


そう、なのか?


悩んでても仕方がないので、先に俺達の分を済ますことにした。


マリモちゃんは『これでいいだろオラァ』みたいな圧を掛けながら植木鉢の中に土を入れて魔苔状態になった。素早く丸が描かれたカードが落ちてきた。


ヤクシは金づちを抱き締める形で寝転がり、ちょっと体を曲げて首を傾げキュルンと効果音が付きそうなくらいあざといポーズをやった。勿論丸カードだった。あざとい……


俺は普通にヘルメットひっくり返して中に仰向けに納まって大福肉球見せを披露した。可愛くない筈もなく丸カードだ。


そして、ついにグレイである。


「大丈夫だ、可愛く思えるポーズを見せるのであって、俺が可愛くないといけないわけではない」


何か自分に言い聞かせてるのか?可愛いポーズをしてるのに可愛くないとかで不合格だったら嫌だろ?可愛く見せるんだ!


悩んだ末に、グレイはバールを手に取り、小さな女の子に人気な戦う美少女アニメの決めポーズを披露した。


「に、にゃにゃ!?」


せ、世間で可愛いと評価されてるポーズを出してきただとぉっ!?


これはダンジョンも可愛く無いとは言えない!例えやってるグレイが可愛くなくてもポーズ自体は可愛いと評判なのだ!なんという策士!これが孔明の罠!


うん、まぁ普通はそうするよな。ポーズが可愛けりゃ良いんだもんな。


渋々って感じで丸カードが出てき…たと思ったら消えてガラガラ回すタイプの福引き装置が出てきた。


3回回せるので1回ヤクシがやりたがって、俺が2回ヤクシが1回となった。


めっちゃウキウキとハンドルを回すヤクシなんだが、実はこの福引き『何色が出たらこの賞品』という表みたいなものが無い。


だから出てきた玉が何等なのかわからないのだ。


「キュ!」


黄色出た!と嬉しそうなヤクシだったが、黄色い玉がポフンと軽く煙を出して弾けた。そして、アロエの鉢植えが出てきたのだ。


「キュー?」


何これ?と首を傾げたヤクシに、アロエという植物で、食べられる種類だと教えてやった。


こんなもんかと思いつつ、俺も回し、玉が変化するより早くもう1回。


わかりきっていたけど、金と銀の玉だった。金の方が全身調整カプセル型ベッドで、銀の方が『頭から若返る』と書いてあるサプリだった。


……また厄ネタ拾ったのでは?置いて帰っちゃ駄目かな?駄目だよなぁ。


ストレージにポイしとこう。

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