第382話 30階 可哀想だよな?
「え、俺がダメージディーラーってことか?」
「にゃ!」
そう!
ということは、むしろ俺達ミニスピノが動かないように押さえ付ける役割をしなきゃだ!
「にゃにゃ!」
ヤクシ、マリモちゃん組み付け!
「キュ!」
『りょー!』
3匹一緒にミニスピノに体当たりをして横倒しにしたあと、暴れるミニスピノをどうにかこうにか拘束する。
俺は背後から首に抱き付き片腕も後ろ足で挟むように封じ、ヤクシが腰から足を押さえ付け、マリモちゃんが尻尾に噛みつきながら抱き付いて固定した。
「にゃ!」
グレイ刺せ刺せ!
「おぉぉっ!」
雄叫びをあげながら、棒に岩がくくりつけてあるだけのハンマーで、ミニスピノの頭をガンガンと殴った。
……ミニスピノが暴れて大変ではあるんだが、暴れるってことは倒しきれてないってことで、ミニスピノが何回も痛い思いするってことじゃん?可哀想くない?
普通に戦ってたらここまで可哀想な感じにはならなかったと思うんだ。でもダンジョンさんが皆で寄って集って殴れって言うから……あと攻撃力足りない感じの武器でチクチクやれって言うから……
もう暴れて無いけど時折呻き声を漏らしてるんだが?まだ倒せないの?
「うぅぅにゃっ!」
ミニスピノの抵抗が無くなったので、ダメージは減るけどちょっと溜めてから本気猫パンチを打ち込んだ。
なんかボグゥッ!って音がして、漸くミニスピノは塵になった。
「今の、マスターが普通に全力猫パンチした方がダメージ入ったのでは?」
「にゃにゃにゃ」
総体的にHPのへりが石器武器の方が良い。
確かに一撃としては石器武器より削れるけど、溜めが必要なので連発できないのだ。
なんにしても嫌な時間だったな。拷問の趣味はないので普通に可哀想だったし。
「キュー」
見てよ採点されてる。とヤクシが言った通り10点中7点と採点されていた。
また微妙な点数をつけられたもんだ。
とりあえずクリア判定は貰ったらしく、宝箱も出現した。
問題は中身だが………美白アンチエイジングオールインワンクリームだった。
肌を白くして肌を若返らせる、化粧水や乳液保湿クリーム等、これ1個で全部解決なのだそうだ。
……他の化粧水とか売って、これだけご主人に渡しとけば良いのかぁ。
なんか、いまいちこのダンジョンのアイテムの価値がわからない。とりあえず俺らが貰って嬉しいようなアイテムは無いと思ったほうが良いのかもしれない。
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