第381話 30階 あんまりだ!


30階の中ボス部屋は金のクローバーだった。しかも金の折り紙みたいにツヤツヤキラキラな金だ。趣味が悪い。


問題のお題なんだが……


「あなたたちは原始人です!なりきってミニスピノを倒しましょう!と書いてあるんだが……武器はここに置いてある石槍とか石斧を使えってことか?ミニスピノって2mくらいのスピノサウルスという恐竜モチーフのモンスターだよな?正気か?」


「うにゃ」


正気ならこんなことさせない。


「キュー?」


原始人とは?と首を傾げてるヤクシに、スマホで検索して画像を見せてやった。


『我ドラゴンなのだがー?恐竜とかいうー絶滅種モチーフとかー喧嘩売られてるかもしれないー』


マリモちゃん、気に入らないのはわかってるんだけど、中級ダンジョンなんかにドラゴンは出てこないから恐竜モンスターは爬虫類枠だぞ。


ワニの上位版みたいな扱いだぞ。


因みに俺は恐竜の中だとトリケラトプスが好きだ。あの邪魔になりそうな角やエリマキが、カッコいいから付けてみた!って感じがしていいと思う。


「いや、爬虫類型モンスターではあるが相応に固いだろ?石器武器とか刺さる気がしないんだが?」


「キュー」


目と口を狙うと良いよ。とは言うものの難しいだろうな。


「うにゃ」


素手で殴りに行く俺は勝ち組。


原始人ってことで魔法は危ないかな?と思って猫パンチを連打しようと思ってる。体のサイズはミニスピノと同じくらいまで大きくして、猫VS恐竜の夢の対決である。


「わかった、俺は賑やかし程度に武器でチクチクやっとく」


石器武器じゃあどうしようもないので、離れた所からツンツンしててくれればいい。


グレイだけが原始人要素出せるんだ、頑張れ。


グレイが持てるだけ武器を持ったのを確認して、部屋の中に入る。


……部屋の中がいつもの部屋なの狭くないか?


2mに縮んではいるけど、軽くジャンプしたら頭ぶつかりそうだし、軽く走ったら壁に激突しそうじゃん。


もっと、こう、モンスターに寄り添ってだなぁ……いや、俺達にとっては有利な状況とも言えるんだけど。


「にゃ!」


とりあえず殴れ!


「キュー!」


うぉぉー!と棒読みで雄叫びをあげたヤクシ。


『肉だー!狩るぞー!』


「うおー」


グレイ……お前、いつの間にか原始人幻影つけられてるぞ?装備じゃなくて毛皮の腰巻と上半身裸みたいな格好になってる。石槍構えてる原始人装備のイケメンって、くっそ笑える!


いやいや!笑ってる場合じゃなかった!思ったよりもミニスピノの動きが速いな!


あと尻尾が時々分回されるので、地味に回避が必要になってくる。


原始人ってパンチでパリィとかしないよなぁ?いや、原始人って獲物に貼り付いてグサグサやってるイメージなんだよね。


尻尾攻撃で回避をさせられてはいるけど、猫パンチ自体はいれている、ただ外皮が固くてダメージが思ったよりいってない。


……それにしても、大きい俺と大きいヤクシ、大きいマリモちゃん、ミニスピノ、それぞれが大きくて部屋がめっちゃ狭い。


というか大きな俺達にボコボコに殴られてるのに倒れないミニスピノタフすぎでは?


………コイツ。


「うにゃぁん!」


石器武器の攻撃以外だとダメージ半減とかふざけんな!


最初に詳細鑑定しなかった俺が悪いけどさぁ!あんまりだ!

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