第380話 29階 ぴょんぴょんする
元人間の男だからこそ、発毛剤に微妙な気持ちになるのだ。オス成分が強いほど頭部が禿げるなんて、残念すぎる構造してる。
毛は防具の役割でもあるんだから強いオスほどもっさりしそうなのにな。頭守らんでもオレツエ-アピールなんだろうか?
そろそろ禿げない方向に進化してもいいと思うんだけど、人間の進化どうなってんの?エルフとか禿げなそうなイメージ有るけど……経過観察が必要かな。
……髪の話しはやめよう。
気を取り直して、29階!
「あなたは因幡のウサギです!部屋の中に居るワニを全て使って反対側まで行ってください!だそうだ」
「にゃ」
ワニ全部踏んでけばいいのか。
そういう話だったよな?ワニだったりサメだったり詳しく覚えて無いけども。
部屋に入ると、部屋の中がプールのようになっていた。扉の前部分だけ足場があって他は水である。
見た感じ浅いけど、そこにはぎっちぎちにワニが詰まっていた。何匹か重なって喧嘩になってるじゃないか……
で、この身動き取れなかったり、関係ねぇ!と暴れているワニさんたちを使って出口まで行けって?
「うにゃにゃにゃ」
スリープかけて麻痺も追加して念動で並べてから踏んで行くに1票。
「うにゃ」
ついでに錬金術で試作した麻酔液(モンスター用)もある。
「キュー!」
さんせー!
『それで行こー』
「むしろそれ以外無い」
うむ、たぶん俺達じゃ無かったら危険度とかはね上がった系のお題だったんだと思う。
相手が悪かったなぁ!
というわけで、麻酔液を水に流し入れて動きが鈍ったところにスリープと麻痺を入れて、なんか怪しいので防御力アップ付与してから念動で並べていった。
まずは俺から、ぴょんぴょんと1匹ずつ踏んでいってゴール。続くヤクシとサイズを小さくしたマリモちゃん。
最大の懸念はグレイだったけど、何とか無事に終わった。
グレイが着いた瞬間、普通の床に戻って宝箱が出現したんだが………その宝箱に『1匹見逃し残念賞』と書かれたカードがついていた。
皆でビックリしてカードを取ると、裏面に『1匹だけ他のワニの口の中に隠れてたんですよ!』と書かれており、読み終わった瞬間、床に投げ捨てた。
「うにゃ!」
わかるか!
他のワニの口の中に入るサイズなんてどうせ人間だと踏めないじゃないか!
グレイが渡れたのを見る限り、ワニたちは変な浮力が働いていたみたいだけど、口の中サイズじゃ踏み外すだろ!デカイサイズのワニでも結構グラグラしてたぞ!?
これはクリアさせる気が無いやつ!
ヤクシなんてもう知らない!と言いたげに宝箱を乱暴に開けて、中に入ってた箱ティッシュ1箱を確認したあと、箱ティッシュを床に叩きつけてた。
……むしろ箱ティッシュの方が日常で使えて有難いまで無いだろうか?
「うにゃ」
ヤクシやめなさい。
「にゃにゃ?」
むしろ箱ティッシュが一番生活の役に立つだろ?
「………キュ!?」
………ホントだ!?と驚きながらも納得したヤクシは、箱ティッシュを拾い、凹んだ部分をどうにか戻してから、俺に箱ティッシュを渡してくれた。
なんか漸くもらって嬉しいアイテム貰っちゃったな。
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